過敏性腸症候群に対する鍼灸治療

2026-02-13

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)とは、大腸内視鏡などの検査で器質的異常が認められないにもかかわらず、腹痛や便通異常が慢性的に続く機能性消化管疾患です。
症状は良くなったり悪くなったりを繰り返し、ストレスや生活習慣の影響を強く受けるのが特徴です。
IBSでは腹痛や膨満感などの「腹痛・腹部不快感」、下痢、便秘などの「便通異常」を中心とした症状がおこり、排便後に症状が軽減する、緊張や不安時に症状が悪化すると言った特徴があります。


過敏性腸症候群の主な原因

1. 自律神経の乱れ
ストレスにより交感神経が優位になると、腸の運動が過剰または低下し、下痢や便秘を引き起こします。

2. 内臓知覚過敏
腸のわずかな刺激でも痛みや不快感として感じやすくなります。

3. 腸管運動異常
蠕動運動のリズムが乱れ、便の通過速度が不安定になります。

4. ストレス・心理的要因
不安、緊張、環境変化などが症状を悪化させます。

5.その他
不規則な食事や睡眠不足、スマートフォンやインターネットの長時間使用など生活習慣も影響することがあります。



東洋医学ではIBSは「腹痛」「泄瀉」「便秘」などに相当し、ストレスによる気の停滞が起こる「肝気鬱結」、胃腸の消化吸収力が低下する「脾気虚」、メンタルが胃腸機能に影響を与える「肝脾不和」といった病態が関与すると考えます。

これらの病態に対して自律神経の調整、腸管運動の正常化、内臓知覚過敏の緩和を目的に鍼灸治療をおこないます。
例えば腸機能の調整を目的として天枢、中脘や足三里、上巨虚穴などで腸の蠕動運動と腹部症状の改善したり、自律神経・ストレス調整として百会、神門、内関、太衝穴などで精神的緊張を緩め、腸の過敏反応を抑えます。

その他日常生活での養生として、規則正しい食事と睡眠やお腹を冷やさないこと、軽い運動の習慣化なども大切です。

起立性調節障害に対する鍼灸治療

2026-02-13

起立性調節障害は、自律神経の調節がうまくいかず、起立時に血圧や心拍数の調整が不十分になることで、さまざまな不調が現れる状態を指します。思春期の子どもや若年層に多くみられます。

主な症状
立ちくらみ、めまい、動悸、息切れ、頭痛。
朝起きられない、午前中の不調、集中力低下。
食欲不振、腹痛、気分不快感やメンタルの揺らぎ。

これらの症状は複合的に現れ、天候の変化や疲労、精神的ストレスによって悪化しやすいのが特徴です。

起立性調節障害の主な原因
1,自律神経の乱れ
交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、起立時に血液が下半身に滞留しやすくなります。その結果、脳血流が一時的に低下し、めまいや立ちくらみが起こります。

2,血液循環の問題
血管収縮反応の低下や血液量の不足(血虚)、筋ポンプ機能低下などが重なることで、全身の循環不良が生じます。

3.ストレス・生活習慣
学校や職場での心理的ストレス、睡眠リズムの乱れスマートフォンやインターネットの長時間使用などは自律神経に大きな負担をかけます。

4.体質的要因
虚弱体質、成長期による急激な体の変化、冷えや低血圧傾向など元々の体質も影響することがあります。

東洋医学的な考え方
東洋医学では起立性調節障害を「眩暈」「虚労」「気血両虚」などの概念で捉えます。
腎虚:成長・回復力の低下
脾虚:気血生成不足
気虚下陥:起立時に気が持ち上がらない
肝気鬱結:ストレスによる自律神経緊張

鍼灸治療の方法(一例)
自律神経の調整や血流改善、虚弱体質や冷え体質の改善を目的として百会、神門、内関、太衝、足三里、関元、気海などのツボへの鍼灸施術で、神経の過緊張を緩め安定したリズムを作り、エネルギー不足を補い下半身の循環を促し起立時の血圧調整を助けます。

着床障害に対する鍼灸治療

2026-02-13

着床障害とは、受精卵が子宮内膜にうまく着床できない状態を指します。体外受精などで良好な胚を移植しても妊娠に至らない場合、着床障害が疑われることがあります。

着床障害の主な原因として以下のものが考えられます。

1. 子宮内膜の状態
子宮内膜が十分な厚さに育たない(7mm以下)
血流不足により内膜の質が低下している。
ホルモンバランスの乱れ(エストロゲン・プロゲステロン)

2. 血流循環の低下
冷えや自律神経の乱れにより、骨盤内の血流が悪くなる。
長時間のデスクワークや運動不足。

3. ストレスと生活習慣
強い精神的ストレス。
睡眠不足や不規則な生活。
スマートフォンやインターネットの長時間使用による自律神経の乱れ。

4. 免疫・炎症の影響
慢性的な炎症。
免疫バランスの乱れにより、受精卵を異物として排除してしまう。

※4の免疫や慢性炎症は病院での治療が最優先となり、鍼灸での効果は緩慢または無効です。


着床障害に対する鍼灸治療では「血流改善」「自律神経の調整」「体を妊娠しやすい状態に整える」ことを目的とします。
薬だけでは補いきれない体全体のバランスにアプローチできる点が特徴です。


鍼灸による具体的な治療アプローチ

1. 骨盤内・子宮周囲の血流改善
下腹部や腰部への鍼灸刺激により血流を促進。
子宮内膜に栄養と酸素が届きやすい環境を整える。

2. 自律神経の調整
手足や背中のツボを使い、交感神経と副交感神経のバランスを調整。
ストレスによるホルモン分泌の乱れを緩和。

3. 冷えの改善

お灸を用いて下腹部や足元を温める。
冷えによる血流低下を防ぎ、着床しやすい体づくりを目指す。

4. 体質改善のサポート
胃腸機能の調整。
睡眠の質の向上。
疲労回復を促し、妊娠を支える基礎体力を高める。


鍼灸治療のメリットとして以下のことが挙げられます。

・副作用が少ない
・継続することで体質改善が期待できる
・不妊治療と併用しやすい
・心身のリラックス効果が高い

漢方薬・薬膳相談

2025-08-05

自律神経の乱れや原因不明の症状の治療法の一つが「体質改善」です。
体質は人それぞれ異なり、暑がりの人もいれば寒がりの人もいますし、胃腸が強い人もいれば胃腸が弱い人もいます。
ストレスや疲れが頭痛に出る人もいれば、のどの腫れや咳、胃痛に出る人もいますが、これは体質が異なるために起こることです。

まず知っておいて欲しいのは体質改善は筋トレと同じで、時間がかかります。
鍼灸や漢方薬、薬膳で体質改善は可能ですが、数回の治療や数週間で体質は変わりません。
筋トレの効果が出るのは早くて3ヶ月と言われています。
体質改善も効果を実感できるのはそのくらいの期間が必要です。

体質改善で最も効果が出やすいのは「気滞」タイプです。
鍼灸は気の詰まりや乱れなどを調整することを得意としており、過呼吸のコラムでも書いた通り気の巡りに対して即効性と高い持続性があります。

逆に最も時間のかかる体質改善は「痰湿」タイプです。
痰湿は体の中の余分な水分のことで、粘滞性があり排出されにくいと言う特徴があります。
また痰湿は飲食の不摂生が原因で発生し溜まりやすいため、痰湿が絡んだ体質改善には時間を要することがしばしばあります。