リスタ・コンディショニング・ルームの施術例

メンタル

初めてうつ病になった20代女性

2023.11.02

病院での診断

うつ病

これまでの経過

※今回の掲載は本人に了解を得ている事例であることと、個人を特定できないように施しております。

2年前に会社で部署の移動がある。
移動先の上司がとても細かくて厳しい人で、ちょっとしたミスでも強い批判的な言動を使って、本人及び周りの社員に接する人であった。

10カ月ぐらいたったころより、朝、会社に行くのが億劫になりはじめ、憂うつな気分も強くなってきていた。また、眠りも浅くなっていたために心配になり近くの精神科を受診。
うつ病と診断され3か月の休職となる。
精神科では、薬物療法を受ける。

約3か月の薬物療法で改善されてきてはいるが、何となく憂鬱な気分と後頭部から背中にかけて重だるさがあるために当ルームを受診。

病前性格(病気になる前の性格):真面目、神経質、外交的、社交的
既往歴(過去に大きな病気をした経験):重篤な病気や入院・手術はしたこともない。
たばこ:吸わない
お酒:たまに飲む程度
趣味:ピラティス
家族:父親、母親、弟、本人の4人家族

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鍼灸院としての診断

精神科でうつ病と診断されているので、QIDS -JとCMI健康調査票を用いて現在の状態の確認をした。

QIDS -J(簡易抑うつ症状尺度):12(中等度)

CMI健康調査票:領域Ⅲ(どちらかといえば神経症の可能性が強い)
※CMI健康調査票は身体的自覚症(12系統別)と精神的自覚症(6状態別)を把握と、そこから神経症(ストレスによって精神が疲弊した状態)かどうかの確認をする検査

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治療方針

1、うつ病の場合、脳の血流量が低下しているために脳血流の改善とセロトニンの活性化。

2、特に左前頭葉の血流量の改善。(うつ病は左前頭葉の血流量が低下していることが研究などで報告されている)

3、後頭下筋群(後頭部にある細かな筋肉)の重だるさはうつ病による反応であろうと考える。ただ、今回は筋緊張があったので緩めることを目的に行う。

4、ホームワーク(自宅で行ってもらうこと):ピラティスはまだ無理そうなので、ウォーキングを運動療法や行動活性化として用いた。

今回、問診時では、身体の状態を主に訴え、ネガティブな考え方がそれほど強くないために、鍼治療とホームワーク(自宅で行ってもらうこと)で施術を進めることとした。
なお、治療途中でもネガティブな考えが強く出るようであれば認知行動療法(心療鍼灸)を併用することとした。

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治療内容

1、脳血流改善を目的に、四肢末端への鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)(どこのツボではなく肘から先と膝から先に鍼治療を行うことで、脳血流が改善することがわかっている)

2、脳血流改善を目的に、頭のてっぺん付近(ツボ名は百会)と眉間(ツボ名は印堂)に鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)

3、脳血流改善を目的に、特に左前頭葉の2か所に鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)

4、耳に置鍼(20分程度)(脳血流が改善することがわかっている)

5、後頭下筋群から背中にかけて置鍼(20分程度)
※置鍼とは、鍼を刺入した状態で置いておくこと。

初診時
現在の困りごとを伺いうつ病のテストとしてQIDS -Jを行う。
次に、症状や状態の説明を認知モデル/認知行動モデルで説明を行った後に上記の内容の鍼施術を行った。
ホームワークとしては、ウォーキング(早歩き)を日に10分間から始めて、徐々増やしできるようであれば20分間までとした。また、CMI健康調査票の記入してきてもらうこととした。
※認知モデル/認知行動モデルとは、認知行動療法で状態を説明するときに用いる方法。
状況⇒認知(物事の捉え方)⇒気分-行動-身体化
※ストレス問題や精神疾患、自律神経疾患などの状態を説明するときに『認知(物事の捉え方)⇒気分-行動-身体化』を用いて説明する。

2セッション(1週間後)
前回の施術後の確認。鍼当たりがあったかどうかなどネガティブな要因と、気分や後頭部から背中にかけて重だるさの変化また、ポジティブな要因の確認後施術を行う。
以後、2セッション~14セッション(10セッション以降は頻度は隔週とした)の終了まで鍼施術内容に変化はない。

ホームワークは、3セッションまでは早歩き20分間として、4セッションからは本人との相談のうえで徐々に歩くスピードを上げてもらう。また、時間も徐々伸ばして30分間とした。

9セッションと10セッション
主治医の判断及び産業医面接で、職場復帰を行うこととなる。
なお、主治医と鍼灸師(公認心理師)の意見が一致していたが、職場復帰は職場移動しての復帰となる。
理由は、この方ははじまりは上司に対しての適応障害で、その状態が続いた結果、うつ病となったためです。

なお、この時に復帰への不安感が強くなったために、この2セッションは、相談時間(認知行動療法)を約半分の時間取り復帰へのネガティブな考えの修正を行った。

14セッションでは、当初の症状もなく職場でも問題なくできているということで、3か月後に再度状態を確認(フォローアップ)する予定であったが、本人の希望で月1回のコンディショニングのための施術を継続することとなる。
3か月後は問題なし。

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施術回数・頻度・期間

施術回数:14回
頻度:週1回~治療終盤は隔週1回
期間:4カ月プラス、その後、月1回の施術

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施術後のケア

1、趣味のピラティスを継続して行っていただく。
2、コンディショニングとしての施術を月1回継続(現在の継続中)
余談、美容にも興味があるということで、顔にも抗重力筋など自律神経の調整に重要な筋肉があるので、それらも用いながら全体の調整を行っている。

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