下車坂治療院の施術例

首

帯状疱疹による右肩痛・右上肢挙上不全

2022.01.25

病院での診断

帯状疱疹

これまでの経過

【現病歴】
20XX年9月中頃に右肩の痛みを感じた。
その後、肩から上腕にかけて赤い斑点が現れた。
9月末に皮膚科を受診し、帯状疱疹の診断を受ける。
治療は抗生物質とロキソニンの内服。
3週間程度で皮膚科の治療は終了。
肩の痛みが引かないため、ペインクリニックで週2回程度血流改善の目的で注射を受けている。
リリカとロキソニンの内服を続けている。
少しずつ改善しているが、やけどのような痛みやズキズキする痛みが継続している。しばしば、強く痛むこともある。
痛みのため睡眠が不足している。
力仕事に就いているが、右腕の挙上ができないので休んでいる。
早く仕事に復帰したい。

【自覚症状】
右肩(三角筋)に水疱が残っている。
頸肩移行部から水疱の部分にかけて痛みを感じる。
さらに前腕にも痛みがある。感覚の鈍さもある。
右手の力の入りにくさがあり、箸が使えない。書字も困難。
洗髪は左手だけで行っている。服の脱ぎ着もつらい。
痛みで目が覚めることがしばしばある。
入浴で軽快する。

【所見】
右三角筋中部繊維、後部繊維に水疱、かさぶたあり。
右肩前方挙上90°で痛みがある。この角度の保持もできない。他動では150°まで可能だが、痛みがかなり強い。外転挙上も同様。
右手関節の背屈不可。右手指の伸展も難しい。
右前腕の感覚鈍麻あり。
右小円筋・棘下筋・棘上筋が左よりも細い。

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鍼灸院としての診断

帯状疱疹による痛みと運動麻痺。
複数の神経に炎症を起こしている様子。
主にC5,6神経根に炎症を起こしていると推測。

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治療方針

皮膚症状の出ている場所の周辺(三角筋)への鍼に加えて、運動麻痺を起こしている筋に対する鍼を行う。
痛みによる睡眠障害も合併しているので、自律神経のバランスを整える目的で手足への鍼通電も行う。
週1~2回の施術をすすめた。

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治療内容

【初診】
<左側臥位>
 右三角筋(中部繊維・後部繊維)、棘上筋、棘下筋、小円筋、短橈側手根伸筋へ1ヘルツ10分の鍼通電と指圧5分程度
 併せて赤外線での温熱
<仰臥位>
 左右手三里、合谷、足三里、三陰交へ1ヘルツ15分の鍼通電
 併せて赤外線での温熱

【第2診(初診から8日後)】
この8日間で2回ペインクリニックへ行き注射を受けた。
夜間の痛みが少し軽減した。
箸を使えないので、パンなどを食べることが多い。
治療内容は初診同様。

【第3診(初診から14日後)】
痛みは軽減傾向にある。
右肩前方挙上の90°キープができるようになった。ただし、すぐに疲れてしまう。
治療内容は前回同様。

【第4診(初診から21日後)】
右前腕の動かしにくさが改善してきている。
靴ひもが結べるようになった。
ペインクリニックは継続してかかっている。
睡眠の状態は良い。
治療内容は前回同様。

【第5診(初診から28日後)】
ペインクリニックで筋肉の損傷を確認するためエコー検査を受けたが、問題はなかった。
右手で少しだけ箸を使えるようになった。
しかし、重いものを持つことはできない。
治療内容は前回同様。

【第6診(初診から35日後)】
痛みはだいぶ軽くなった。
右手で箸が使えるようになった。
右肩前方挙上150°まで自動でできる。ただし、少し震える。
治療内容は前回同様。

仕事に復帰することにしたため、この日で施術終了。

 

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施術回数・頻度・期間

週1回ペースで計6回。
想定よりも神経の回復が早かった。

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施術後のケア

仕事で無理をしないこと。
症状がぶり返すようなら、もう一度来院いただくよう伝えた。

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