リスタ・コンディショニング・ルームの施術例

胸

全身のだるさ、頭痛、動悸、不眠、イライラ感等様々な症状で悩まれている方

2022.12.23

病院での診断

自律神経失調症

これまでの経過

※今回の掲載は本人に了解を得ている事例であることと、個人を特定できないように施しております。

1年前より何となくイライラしたりすることが多くなりはじめる。
このころは職場移動したばかりで、移動先の課長が厳しいく苦手なタイプで関係に悩み始めた時期であった。
また、結婚式を8か月後に控えていろいろと準備などで休日も出かけていた。

会社には職場移動の願いなどを出していたが移動はできていない。その間に会社に行こうとすると頭痛や動悸がしたり、休みの日も気が休まらずまた、結婚式の準備で式場等との打ち合わせなど動かなければならなかった。

結婚式は無事に済んだが、会社のストレスは相変わらずで、結婚式が済んだことでより会社のことが気になるようになっていた。
症状としては、全身のだるさや頭痛、動悸、不眠、イライラ感等がひどくなってきたために内科を受診。自律神経失調症と言われる。
漢方と睡眠薬を処方される。

薬を2か月ほど飲んでいたが、イライラ感は収まっていたがそれ以外の症状は多少良くなった程度であった。
この時期に大学の仲間とたまたま飲む機会があり、会社のことや身体のことを話したら友人の一人から当ルームを紹介されて来院。

職業:会社員
性格:真面目、神経質、内向的、人見知り、思い込みが激しい
既往歴(過去に大きな病気をした経験):特になし
お酒:週に1日程度
タバコ:吸わない
趣味:テニス、ヨガ
家族:夫・30代/夫婦仲は良好

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鍼灸院としての診断

自律神経機能を評価する検査機器での検査結果
きりつ名人(血圧・心拍変動解析ソフトmeijin ):安静時交感神経過緊張型/交感神経反応過剰型(起立時の反応)
※測定時間は5分間
椅子に座った状態で2分(安静)⇒立ち上がって2分(起立から立位)⇒座って1分
安静時のバランスと体位を変えたときの機能を評価する。


CMI健康調査票:CMI健康調査票:領域Ⅲ(どちらかといえば神経症の可能性が強い)
個別で高得点項目:身体的自覚症では泌尿器生殖器系と疲労度、習慣/精神的自覚症では不適応と不安、過敏、緊張
※CMI健康調査票は身体的自覚症(12系統別)と精神的自覚症(6状態別)を把握と、そこから神経症(ストレスによって精神が疲弊した状態)かどうかの確認をする検査

状態の考え方として、
課長との不適応感がストレスとなって交感神経の過剰な緊張が続いている。
それによって不定愁訴として、全身のだるさや頭痛、動悸、不眠、イライラ感が起きている。

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治療方針

脳疲労及び自律神経のバランスの回復によるストレス緩和

1、脳疲労では脳の血流量が低下しているために脳血流の改善及びセロトニン量のアップを目的に行う。

2、自律神経のバランスの回復。主に副交感神経の働きを促すことと、筋緊張のある抗重力筋の緩和

3、ホームワーク(自宅で行ってもらうこと):漸進的筋弛緩法の簡易バージョンと趣味のヨガを運動療法として用いる。
※漸進的筋弛緩法とは、筋肉のある部位に8割程度の力を10秒間入れたのち、力を20秒から40秒間抜いて脱力状態を作る。

鍼の施術ではないが、
職場移動の願いを会社に出すのと、移動できるまでの間の考え方を認知行動療法の技法を用いて指導する。
なお、課長は個人の成績は優秀でとても速い昇進であったが、ただ人を使うことに関しては優秀ではなさそうであった。
例えば、課長になる前からも部下に適応障害やうつ病になる方が何人かいた。
よって、患者さんは当初より課長に対しての不適応状態(適応障害)であったと考える。
その場合、職場移動によって症状が収まる可能性も考える。
職場移動によって変化しない場合は『うつ状態』を考える必要がある。

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治療内容

1、脳血流改善を目的に、四肢末端への鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)

2、頭のてっぺん付近(ツボ名は百会)と眉間(ツボ名は印堂)に鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)

3、脳血流改善を目的に、頭の左右(ツボ名は頭維)に鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)

4、脳血流改善を目的に三叉神経等へ置鍼(20分程度)
ツボ名では陽白、四白、大迎

5、表情筋(咬筋、口輪筋)へ置鍼(20分程度)
※置鍼とは、鍼を刺入した状態で置いておくこと。

6、背部へ置鍼(20分程度)
僧帽筋/肩甲挙筋を使用
※置鍼とは、鍼を刺入した状態で置いておくこと。

7、ホームワーク:毎日の課題・漸進的筋弛緩法の簡易バージョン/ヨガ


初診時
現在の困りごとを伺った後、現在の自律神経の状態を確認するために『きりつ名人』を行う。
次に、症状や状態の説明を認知モデル/認知行動モデルで説明を行った後に上記の内容の鍼施術を行った。
また、状態がとても辛い場合は、医師に診断書を書いてもらって休職することも一つの方法であることを伝える。

ホームワークとしては、漸進的筋弛緩法を毎日と美顔ローラーを用いて抗重力筋にマッサージを行ってもらう。


第2セッション
前回の施術後の確認。鍼当たりがあったかどうかなどネガティブな要因とポジティブな変化があったかの確認を行う。
また、職場移動についての状況を確認と課長に対しての当面の対応方法として、客観的・合理的思考による関係性を指導する。

以後、2セッション~10セッション(6セッション以降は頻度は隔週とした)の終了まで鍼施術内容(鍼の本数は調整した)に変化はない。


第3セッション
移動が約2か月後に決まる。それまでの間をポジティブに捉えるために秒読み段階で進める方法を指導する。
感情(客観的・合理的思考による関係性)を含まない関係性を心掛けることで少し楽になったという。

ホームワークについては、第3セッション以降、追加でヨガを週に2日から3日行うようにする。


第4セッション~第6セッション
職場移動が近くなることでずいぶん楽になってきていることと、感情(客観的・合理的思考による関係性)を含まない関係性のコントロールできてきている。


7セッション~9セッション
8セッション時には職場移動をする。
移動先では上司はいいひとで問題なくできている。
多少、身体にだるさはあるが、それ以外の症状は気にならなくなってきている。


第10セッション
仕事での疲れはあるものの、以前のような症状はほとんど気にならなくなってきている。
今回は、このセッションで終了とした。


きりつ名人について5セッションと10セッションで行っている。
5セッション時:安静時健常型/交感神経過剰反応型
10セッション時:安静時健常型/健常型

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施術回数・頻度・期間

施術回数:10回
頻度:週1回~終盤は隔週1回、10セッションは1か月後とした。
期間:3カ月

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施術後のケア

1、ヨガとテニスを生活の中に組み込んで行っていってほしいことを伝える。

2、ネガティブな感情が出てきたり、しんどくなりそうだなと思ったらすぐに来ることを伝える。(すぐの段階で来ていただければ1回とか2回の鍼治療で終わる場合が多いことも伝える)

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