和鍼治療院の施術例

手術後の右足の麻痺

2021-10-12

病院での診断

脊柱管狭窄の手術後の後遺症害

これまでの経過

約6年前に脊柱管狭窄症を発症
1キロ先の駅まで歩くのに、腰痛が度々悪化し、その度に立ち止まって休憩する必要がありました。
その後、整形外科にて痛み止めの投薬、整体師による整体など、いろいろ治療を試すが腰痛が改善せず。
地元の総合病院で診断を受けると、担当の整形外科医が手術を勧められる。
手術をすれば、歩行ができるようになると言われたので、痛みが無くなることを期待して手術を受けることを決意。

手術後、麻酔がきれてから腰痛が再発。
すぐに再手術となり、その後、腰部の痛みが消失。
術後の入院中、下半身がものすごく冷えるようになり、ホットカーペットを布団に入れ、リハビリとして足湯が日課になる。
手術後から両下肢の皮膚感覚がなくなり、手で触っても感覚が消失
ベッドで寝ていて足は冷えるのに、足の皮膚感覚が消失していることを奇妙に感じる。
同時に、右足が全く動かないことに驚く。
担当医に相談すると、リハビリを頑張ることで動きが回復すると言われ、入院中、リハビリに専念する。
退院時、結局、右足の麻痺は改善せず、通院でリハビリを継続することになる。

以後、約4年間、リハビリに励むも、右足の運動麻痺、両下肢の皮膚感覚の異常、腰部周辺の皮膚感覚異常、両足の冷えは改善せず。

手術後2年目から両下肢に激しい痛みが生じるようになる。
担当医が転勤し、後任の医師からペインクリニック科にて医療を受けるように指示される。
手術への期待を裏切られ、足の痛みや歩行の改善余地について質問
後任の医師は、歩けるようにはならないと明言。
レントゲン写真を見せられて、「手術は成功しているが、痛みの原因は手術を担当していないから不明である」と言われる。

医師の指示通り、同病院内のペインクリニックで、痛み止めの注射と鎮痛剤を服用するようになる。
一年以上に渡り、それを繰り返したことで、両下肢の痛みが少し改善し、夜間も薬の服用で眠れるようになる。
ただし、いつごろからか、両手の指先が痺れるようになる。

足の麻痺の改善を目的に、通所を始めたケアセンターで鍼灸の有効性を知り、治療を希望


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鍼灸院としての診断

初診時、顔色が非常に悪いことが心配になりました。
歩行器を必要とする歩行状況で、右足は麻痺で完全に下垂。
左足も足裏の感覚が無く、ふわふわと中を歩いている感じとのこと。
両手の指先が痺れていて、触れると氷のように冷たく感じました。
両下肢も氷のように冷たく、手術後以降、靴下を3枚、重ねて履いて生活しており、睡眠中も靴下を履く必要があるとのこと。
夜間尿も回数も多く、足が不自由なため、室内に設置しているポータブルトイレで用を足しています。

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治療方針

①両下肢の痛みを改善する。
腰部脊柱管狭窄症の手術後、しばらくしてから発症するようになった両下肢の痛みにより、夜間も眠れないようになっておられました。
鎮痛剤の使用は、血流の悪化をもたらし、組織の改善を阻害します。
鎮痛剤を必要とせず、痛みから解放されるように治療を行います。

②運動神経麻痺と感覚神経麻痺の改善
手術後、右足の運動能力が消失しました。
両下肢の感覚にも異常があり、皮膚の感覚に問題があります。
しかも冷えを非常に感じるようになり、どのような処置も改善の兆しがありません。
鍼灸治療には、体質改善と体調の回復の両方を導く力があります。
この効果を最大限発揮し、機能の回復を促します。

③薬の副作用の改善
痛み止めに関する注射や薬の服用により、身体全体の血流の悪化を懸念しました。
ペインクリニックに行くようになってから発症した両手の指先の痺れは、そのことと関連すると推測しました。
下痢を頻繁に繰り返して、トイレに間に合わず、衣服を汚すことが度々ありました。
これらも薬の副作用の可能性があり、断薬を目的とした体質改善を目指しました。

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治療内容

体調を整えることを第一に考え、東洋医学に基づいて治療を開始。
体調が安定することで、身体が本来持っている治癒力が高まり、様々な機能が回復することを期待しました。
機能回復は順調に進めば、体質が変化するようになります。
手術後に完全に麻痺した右足の運動神経もにも、何かしらの変化が現れるのではないかと期待していました。

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施術回数・頻度・期間

週に3回の治療を約1年と半年、継続中

最初の一か月で、下肢の痛みが軽減
鎮痛剤の服用なしに、夜間の睡眠が可能になりました。

三か月後、手指の痺れがほとんど消失
あれほど冷たかった手が温かくなり、青白かった手の色がピンク色になりました。
血流の改善を目視できるようになりました。

半年後、季節は夏季を迎え、靴下を履かずに夜間も寝れるようになりました。
季節が流れて冬になりまし

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施術後のケア

歩行の後は、足裏やふくらはぎに筋肉痛が発症します。
その都度、治療を行うことで、これらの痛みはすぐに消失します。
疲労回復に鍼灸が優れていることの証拠です。

手術後の右足の麻痺の改善により、機能回復に鍼灸治療が効果的であることが証明されました。
西洋医学では不可能と診断された神経の回復が、鍼灸治療によって結果が出ています。
東洋医学は対処療法としての効果もありますが、根本治療として人に内在する治癒力や回復力を高めることに貢献します。
むしろその効果こそ、東洋医学の最大の魅力だとアピールします。

徐々に歩行力を取り戻しておられますが、転倒の危険性があるので、急がず、無理せず、じっくりと治療とリハビリを継続していきます。

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