和鍼治療院の施術例

突き指

2021-09-12

病院での診断

打撲

これまでの経過

和室にある座椅子の足に、左足の親指をひっかけ、バランスを崩して右側へ転倒する。
頭を打たないように意識したが、骨盤の右側を畳に打ち付け、近くにあった座布団に顔の右側があたった。
転倒の際に打ち付けた骨盤に痛みはなく、座椅子に打ち付けた左足の親指に激しい痛みを感じる。
しばらくして胸部と左肩に痛みが出たので、整形外科にて骨折の有無を調べてもある。
幸い、骨に異常はなく、湿布を処方される。

両足の拇指には外反母趾があり、今回、左足の拇指を座椅子にぶつけたことで、親指の内側がひどく腫れあがり、足の甲にも腫れが広がっているのが確認される。
転倒時は一人で歩行が不可能となり、家族に背負ってもらって病院へ行く。
食事は自分の部屋で行い、トイレには車いすを利用

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鍼灸院としての診断

自宅へ往診

和室で転倒されたので、どこを打ち付けたのかを詳しく問診。
胸部と左肩、左足の親指に痛みがあるようでしたが、転倒の際に打ち付けたところは左足の親指だけということがわかりました。
しかも足の親指は転倒する原因であり、転倒で痛めたわけではありません。
転倒による打撲は軽度で、転倒の際の身体をひねるような動きも無かったように思われました。
胸や左肩の痛みは、転倒時に身体に力が入り、筋肉痛のようになったものと判断しました。
呼吸の際に胸の周りが痛むことがないことから、肋骨や肋骨まわりの筋肉に問題はないことがわかります。

左足の親指は突き指
胸部と左肩は筋肉痛
そのように診断しました。

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治療方針

根本治療として、生命力を向上させ、治癒力が高まるように調整します。
足の親指には、炎症による腫れと痛みが顕著であり、歩行時に体重をかけることができません。
湿布をしている上から軽く触れただけでも指に激痛が走りました。
転倒のダメージよりも足の親指のダメージが大きいように感じたので、親指の炎症を改善することにも重点を置きました。

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治療内容

根本治療として、生命力を上げることを行います。
病を治す力はご本人の生命力にありますので、治癒力の向上を目的とした施術から治療は始まりました。

4本ぐらいの鍼をしたころから、胸と肩の痛みは軽減し、身体を動かしても痛みが出ることはなくなりました。
ベッドから起き上がる動作も楽になり、痛みで苦しむことがなくなりました。

湿布の上から触れても痛かった親指ですが、この時点で軽く触れるようになりました。
湿布を取り除くと、指の周囲が熱を帯びていることがわかります。
湿布には炎症を取り除くことができないことがよくわかります。
転倒から3日目でしたが、状態はほとんど改善してないようでした。
親指の近くに、筋肉と関係するツボがあります。
筋肉系の負傷をすると、老若男女を問わず、筋肉と関係する経絡に反応が出ます。
とても不思議な現象ですが、筋肉と関係するツボに鍼と灸を施術しますと、親指の腫れが少し改善しました。
少し強めに手指で患部を刺激してみたのですが、痛みが消失したようです。
腫れがずいぶんと小さくなり、触れて痛みが出る部位が親指の付け根の内側だけとなりました。
外反母趾によるストレスがかかる所で、突き指の際に一番影響があったところであることが理解できました。

全身と関係する根本治療と、親指に関係する筋肉に関係する治療の二つを目的に治療を行ったことになります。

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施術後のケア

湿布の効果はあまり期待できず、むしろ悪影響が懸念されます。
治療により、痛みや腫れといった炎症による症状が軽減しました。
生命力を調整し、治癒力が高まるように施術しているので、自然に回復するのを待つだけです。
入浴によって血流を高めることも改善につながります。
入浴後の状態を確認する必要があります。

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