セドナ鍼灸治療院の施術例

帯状疱疹後の神経痛

2025-05-31

病院での診断

2ヶ月前に帯状疱疹

これまでの経過

◆患者情報
年齢・性別:50代女性

主訴:左背中から脇腹にかけての灼けるような痛み(帯状疱疹後2ヶ月経過)

既往歴:大きな病気なし。普段は健康だが、仕事と介護が重なって強いストレスを感じていた。

服薬歴:皮膚症状治癒後も神経痛が残存し、プレガバリンを服用していたが副作用(眠気、ふらつき)で中止。

◆発症から来院までの経過
2ヶ月前に帯状疱疹を発症。皮膚症状は1週間で治まったものの、「刺すような痛み」「火照るような違和感」が帯状に残り続け、仕事中も集中できず、夜も何度も目が覚めていた。医師には「年齢的に神経痛は長引きやすい」と言われ、半ば諦めかけていたが、「鍼灸が効くかもしれない」と友人に勧められて来院。

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鍼灸院としての診断

◆中医学的診立て
舌診:舌質やや暗紅、舌辺に瘀点、苔薄白

脈診:弦細

その他所見:患部は触れると過敏、夜間痛が強くなる傾向あり

◉弁証:
肝鬱気滞、瘀血阻絡(ストレスや疲労により肝の疏泄機能が低下し、気血の巡りが悪くなったことで瘀血が経絡に停滞 → 痛みを生む)

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治療方針

疏肝理気、活血化瘀、通絡止痛

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治療内容

◉使用経穴:
・太衝(肝経)
・陽陵泉(胆経)
・支溝(三焦経)
・血海(脾経)
・阿是穴(患部周辺の圧痛点)
※1回の施術時間:約30分

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施術回数・頻度・期間

◆経過と結果

※1回の施術時間:約30分、週2回のペースで通院。

回数 主観的な痛み(VAS) 経過
初診 7/10 夜中に何度も起きる、日中も常に違和感
第2回 5/10 夜間痛が軽減、昼は少し気にならない時間も出てきた
第4回 3/10 痛みは鈍痛に変化、眠れるようになる
第6回 1/10 「あれ?最近あまり気にならなくなってた」と実感

患者は「もう痛みを意識しない日

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施術後のケア

「もう治らない」と諦めがちな帯状疱疹後神経痛であっても、適切な鍼灸治療により早期回復は十分に可能である。特に女性のストレス性体質をふまえた中医学的弁証と経穴選択が、自然治癒力のスイッチを押し戻す鍵となる。

◆考察
帯状疱疹後の神経痛(Postherpetic Neuralgia:PHN)は、加齢とともに治りにくくなる慢性神経痛の代表とされる。特にストレスの蓄積や女性ホルモンの影響などが絡む50代女性では、痛みの長期化・重症化が少なくない。

本症例では、中医学の観点から「肝鬱→気滞→血瘀→経絡不通→痛み」という流れを的確に見立て、経絡を整えたことで短期間での改善が得られた。

とくに、太衝と陽陵泉の組み合わせによる肝気の疏泄調整、阿是穴による局所の血流改善が奏功したと考えられる。

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