鍼灸業界の最新動向
2018/4/1

WHOで認められた鍼灸の有効性:世界的な鍼灸ニーズ

ここでは世界的な鍼灸のニーズについて考えましょう。


精神疾患やマタニティ分野での可能性


【心と体と鍼灸】


東洋医学では七情が疾病を発生させる原因であると考えます。

七情とは、怒・喜・思・憂・悲・恐・驚の、人間が持つ7つの感情のことを指します。突然の強い精神的な刺激や、長期にわたって特定の精神的な刺激を受け続け、この七情のバランスに何らかの異常が生じたり、人は生理的に受容しきれる許容範囲を超えてしまったりすると、この七情が疾病を発生させると考えられています。


もう一つ大切な考え方として、東洋医学では心と体は一体であるという考えかたがあります。こうした思想の中で、やはり急な情志の変化は身体に何らかの影響を与え、精神症状に限らず一般症候をも起こすと考えられています。


現在日本では、生涯に1度にうつ病になる人は15人に一人と言われ、医療機関にかかっている鬱病の患者はのべ100万人と言われています。(平成14年厚生労働省調査より)こうした鬱病や、うつ状態パニック障害や、精神疾患に効果があるとされているのが鍼灸なのです。NIH(米国国立衛生研究所)が認める、鍼灸療法の有効性があるとされる疾患の中にも神経系疾患として神経痛、神経麻痺・自律神経失調症、めまい、不眠、ノイローゼ、ヒステリーと発表されています。


鍼灸では、この七情の変化や、外的要因のストレス、ある特定の精神的な刺激により崩れてしまった身体の中の気の流れや血、津液のバランス、を整え五臓の均衡を元に戻すようにアプローチをします。そして七情や感情の変化と連動し乱れやすい自律神経の調整も鍼灸治療は得意とします。

こうしたことから、心と体と鍼灸には深い関係があると言えるでしょう。


【マタニティ分野での鍼灸】


妊活・妊娠中・産後ケアまで、女性人生のターニングポイントであるマタニティの分野においても鍼灸は活躍の場があるのです。

不妊治療中、妊娠中や産後はホルモンのバランスが崩れたり姿勢や骨盤のずれ、生活習慣によって精神的にも大きな変化が起きたりします。こうした変化に伴って、イライラや不眠、腰痛や便秘、つわりや精神不安定など様々な症状がみられます。


このようなマタニティ分野の症状に関して、鍼灸治療では視線治癒力を高め、様々な不調の改善に貢献することができます。こうした症状の緩和をすることによって、体調が優れないことによるストレスからの解放も期待されます。

刺さない鍼、鍉鍼について


はりの種類に刺さない鍼である鍉鍼(ていしん)という鍼が存在します。

鍼とは言ったものの、見た目は金属でできたツボ押し棒のようなものやカッサがたももの、ローラー型のものがあり、使用方法としては患部を擦る摩擦刺激や押さえたりする押圧を利用して使用します。


『刺さない鍼』なので小児や刺激に弱い女性、また高齢者にも使用することができ、刺入しないため衛生面での心配がありません。


東洋医学では、体を気・血・津液という生理物質が構成していると考えており、これらが正常に身体中を巡ることで生命活動を維持していると考えられています。疾病の状態はこの気の流れや、血、津液の流れが滞っていたり、足りなかったりするため起こると考えられ、これらを改善することにより疾病の状態が緩和されると考えます。


素材はそれぞれのもので異なりますが、金や銀、チタンや亜鉛が多く価格もそれにより異なります。治療法としては刺すはりと同じように経穴を使用し置鍼するのと同じよう治療しますが、刺すことはせず押圧や摩擦刺激を行います。


日本国内のみならず、鍉鍼の効果は海外でも今注目を集めており、日本の鍼灸師が海外の鍼灸師へ向けて鍉鍼のセミナーを行ったりしています。海外では中国鍼がメジャーでしたが今では刺さない日本の優しい鍼灸が注目を浴びています。


鍉鍼のみならず鍼灸施術全般に言えることですが、東洋医学では気が存在すると考え治療します。少しスピリチュアルな気もしますが、この気をしっかりとらえた治療こそが鍉鍼を使用した治療の最たる魅力であるのです。

お灸を使った海外での取り組み


【アフリカで日本のお灸が大活躍中】


モクサアフリカというイギリスのチャリティ団体があります。この団体は日本のきゅうに着目して、日本のお灸をアフリカ内で結核の薬の副作用緩和に利用しています。モクサアフリカはイギリスで生まれたチャリティ団体ですが、世界中のどの国よりも日本が密接に関わっています。


結核と艾の関係とは


100年前の日本。そこには7人に1人が結核で亡くなっていた時代がありました。この時代の中でお灸博士と言われた一人の医師がいました。それは原志免太郎という人物です。彼はこの7人に1人が結核で亡くなっていた抗生物質もない時代に、お灸で結核に挑んだ人物です。この試みは結核に対するお灸の有効性を実証することとなり、原志免太郎は108歳でこの世を去ります。


時代が移り変わった現代、今日本でなくアフリカやアジアで結核の新たな患者が増加し続けています。こうした時代背景の中で2008年に立ち上がったのがモクサアフリカです。

結核治療におけるお灸の有効性を追求し、今日も結核の薬の副作用である関節痛や食欲減退に対してのお灸での治療をアフリカやアジア諸国で日本のお灸を広めています。

国内でもこの活動を知ってもらうべく様々なイベントを催しています。時にボランティアを募集していますので、興味がある方は一度調べてみてください。日本の誇る小さな、小さなお灸の技術が世界を救っています。