鍼灸師の国家資格とお仕事
2018/3/30

話題の美容鍼灸師ってどんな人?どんな職業なのか

最近よく耳にするようになった「美容鍼灸」という言葉。

Googleトレンドによると、美容鍼というワードの検索されている頻度は過去最高で、最近は、あるテレビ番組でも大きく取り上げられるなど、世間でも非常に注目されるようになりました。


話題の美容鍼灸師とは?


あなたは美容鍼灸師と聞くと、どんな人を想像するでしょうか。


美容にとても詳しくて、自身も美容の意識が高い美人な先生。

学校へ入学前から美容鍼灸師を目指しており、ストイックに頑張ってきた先生。


むしろ、普通の人には目指せないような狭き門ではないか?というイメージを抱えているかもしれません。


いえいえ、実はそれだけではないのです。


現役鍼灸師に聞いた、美容鍼灸との出会い


【美容鍼灸サロンに勤務するM先生の場合】

M先生は、資格を取得して2年目の女性鍼灸師です。鍼灸師を目指したきっかけは、高校の体操部に所属していたときに、自身が鍼灸にお世話になったことでした。

専門学校に入学した当初は、スポーツ分野での活躍を夢に描き通学していました。

入学当初、美容鍼灸という言葉すら知らなかった彼女が、学内で行われた就職セミナーで美容鍼灸と出会いました。

当時2年生であった彼女は、美容鍼灸という言葉や美容鍼灸師がいることをそこで初めて知り、その後、美容鍼灸サロンの就職説明会へ参加したといいます。

当時、彼女は整骨院の受付でアルバイトをしており、そのときから患者と接してきました。

学生のときから患者と近い距離で触れ合えた経験は、のちに美容鍼灸師として働くようになってからもコミュニケーションの面でとても役に立っていると、M先生は話してくれました。

いまは美容鍼灸師として会社に勤めていますが、日々どのようなことを意識していますか?という質問に対して、彼女はこのように答えてくれています。

「患者さんが求める美容の知識は、鍼灸だけにはとどまらず、美容整形のことやエステの効果についての質問も多いのです。私は、日々生きた情報を取りにいけるように、積極的に美容全般について勉強しています。例えば、水光注射やビタミン注射のこと、糸でのリフトアップなど、私たちが日頃おこなわない西洋医学的な美容についても、私たちはお答えします。そうしたニーズにいつでも答えられるような、患者さんのトータルビューティーや生活習慣について、アドバイスできるような鍼灸師でありたいと思います。」 

【臨床歴15年のベテラン鍼灸師R先生の場合】

R先生は臨床の現場に出て15年のベテラン鍼灸師です。彼女は海外に住んでいたこともあり、英語がペラペラです。以前は、英語を生かした仕事をしていましたが、日本で薬剤師をしているお姉さんと仕事がしたいと思っていたところ、鍼灸師という職業を知りました。彼女は日本へ帰国後、鍼灸学校への進学を決めました。

卒業後、彼女は自宅で経絡治療(伝統的な鍼灸治療のひとつ)を行う鍼灸師として、プライベート鍼灸サロンを経営していました。ある時、常連の患者さんから「R先生、美容鍼灸はやらないのですか?」と言われました。それがきっかけで、その日初めて顔に鍼を打ったそうです。

その時は、特に美容鍼灸という意識はなく、彼女は経絡治療の一環として顔に通っている経脈上に存在しているツボを刺激し、あくまで治療という意識でした。その患者さんは施術が終わると自分の顔を見て、あまりの顔の印象の変わりように驚いて、喜んだとか。

彼女は喜んだ患者さんの姿をみて、顔の印象が変わるだけで、こんなにも人を明るくすることができるのかと思い、 顔鍼を治療として取り入れました。美容鍼灸という位置付けではないですが、この経験がR先生の美容鍼灸を始めたきっかけだそうです。

この先生の治療の方針を他の患者さんにもお話ししたところ、顔鍼を希望する方が日に日に増えていき、いつしか「美容鍼灸師のR先生」と呼ばれるようになりました。そんな彼女はこう言います。

「美容鍼灸という言葉はあるけれど、自分が行なっている鍼の施術はあくまでも経絡治療であり、全身の調整がメインだと今でも思っています。しかし、東洋医学の心と体が一体であるという考え方に原点回帰すると、患者さんが望み、またお顔が綺麗になって気持ちも元気になるのであれば、その幸せを提供することこそが私たちの仕事だと思っています。」

美容分野で活躍する鍼灸師のお話はいかがでしたか?

それぞれが美容鍼灸師になったきっかけはあるものの、その美容鍼灸との出会いは偶然であったように感じます。

では、美容鍼灸師ができることについて解説しましょう。

美容鍼灸師にできること

美容鍼灸師にできることは、顔のリフトアップやしわの改善など、顔への美容施術のみではありません。美容鍼灸師といえど、治療家なのです。経絡治療や気の流れを利用した治療、また経穴(ツボ)を使った東洋医学の専門家です。


肩こりがひどいと、顔にどんなに鍼をうっても、リフトアップに限界があったり、効果の持続性が弱かったりします。また、足の冷えがある場合は、顔にどんなに鍼をうっても、顔の血行が良くなりにくいいものです。

したがって、患者が顔のリフトアップを目的に来院しても、肩や首のこり、冷えの具合も診ますし、生活習慣などの問診もします。


鍼灸師は局所の治療よりも、なぜそこが病気になったのか、なぜそこに病態が発生したのかというように、その病気や病態の発生原因を考えます。鍼灸師は病気の根本に迫る治療を行うことができる専門家です。


美容鍼灸師にできることを以下にまとめます。


・顔のしわや顔色の改善

・肌あれの改善

・たるみ・むくみの解消

・顔の経絡を使った全身の調整

・血行の促進や冷えの改善

・全身の不調の調整


このような美容面でのアプローチはもちろんですが、美容鍼灸師の大切な役割は、『顔や全身のメンテナンスをすることによる心のバランスの維持』であるように感じます。


鍼灸師の原点、東洋医学において、心と体は一体なのです。

「顔が綺麗になる、不眠が治る、生理痛が緩和される、便秘が改善される、美容鍼灸に通うようになってから毎日が少しずつ楽しくなった」

患者さんが元気になるきっかけを与えることは、美容鍼灸師の一番の強みかもしれません。