鍼灸師の国家資格とお仕事
2018/6/11

鍼灸師の年収はいくらか?:給与と職業の魅力について

鍼灸師の年収はいくらなのでしょうか?

また、鍼灸師という職業の魅力はいったいなんでしょうか?

この記事では、皆さんがいま持っている「鍼灸師という職業」についてのイメージを大きく変えるかもしれません。

「鍼灸師」は医療系国家資格のひとつ

代表的な医療系国家資格のひとつである鍼灸師ですが、その年収はいったいいくらなのでしょうか?

その前に代表的な医療系国家資格とさらっと書きましたが、ここでは主に次の資格を指します。

医師、歯科医師、薬剤師、看護師、助産師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師(はり師・きゅう師)

これらの資格の中には、開業権が認められているものとそうでないものがあります。

さて鍼灸師は、開業権が認められているのでしょうか?

この答えは、この記事で詳しく書きますのでしばしお付き合いください。

※参考まで

鍼灸師という職業について、どんな職業であるのかを詳しく知りたい方は、鍼灸師ってどういう職業?国家資格取得後にできることで解説しているのでこちらをご覧ください。

鍼灸師の年収はいくら?

毎年、国税庁から発表されている、国民の『民間給与実態統一調査結果』によると、一般的な民間企業で会社員の平均年収は、平成27年度で420万円、平成28年度で422万円となっております。

鍼灸業界で一般的に言われている金額は、年収300万~420万円です。

民間企業の会社員と比較すると、同等程度でしょうか。この金額は、手取りの給与に換算すると、月収18万〜25万円程度と考えられます。

ただし、あくまでこの金額は、固定給ベースのデータであり、治療院によっては歩合制を導入していたり、ボーナスが支給されたりと、平均より高い年収の鍼灸師が存在することも事実です。

代表的な医療系国家資格との比較

厚生労働省から発表されている、『賃金構造基本統計調査』によると、民間企業で医療系国家資格を持ち勤務している人の平均月収は、以下の通り(表1)です。

表1 代表的な医療系国家資格の開業権、勤続年数、平均月収一覧

※勤続年数、平均月収については、平成29年『賃金構造基本統計調査』のデータを参照

※助産師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師(はり師・きゅう師)についてはデータなし

このように一覧にすると、比較しやすいと思います。

また、はじめに「鍼灸師は、開業権が認められているのでしょうか?」という問いを出しましたが、鍼灸師は数少ない開業権の認められた医療系資格なのです。

鍼灸師の年収はいくら?【ここで補足します】

前述の通り、鍼灸師の年収は300万~420万円程度です。

しかし、鍼灸師はその実務経験や開業後の経営手腕によって、年収が大きく変わる場合もあります。

また、鍼灸師の資格だけでなく、あんまマッサージ指圧師の資格を一緒に持っている方が、有利になる場合もあるようです。

求人を募集している治療院によっては、鍼灸あんまマッサージ指圧師が欲しいという場合もあり、鍼灸師よりも少しだけ高い給与体系となるようです。(当社独自調べです。)

複数店舗を運営している鍼灸院グループのエリアマネージャー(スーパーバイザー)レベルでは、年収600万~700万円という方もいるそうです。

また、複数店舗を展開する経営者になれば、年収1,000万~2,000万円も夢ではありません。

さらに、一人院長で予約が取れない大人気鍼灸院を運営し、年収3,000万円ほどを稼いでいるであろう方もいます。(この収入額は売上などをお聞きした上での当社の推測です。)

都心のタワーマンションに住む人、フェラーリやアルファロメオに乗っている鍼灸師もいれば、一方で鍼灸だけでは食べていけないため、副業でアルバイトをしながら、院長をされている先生もいます。

鍼灸師として食べていける人、そうでない人

この違いは一体なんでしょうか?

順調な先生と暗中模索中の先生の違いは、「具体的なビジョン」の有無ではないでしょうか。

将来どうなりたいのか、いまの現状をどう変えていきたいのか、具体的であればあるほどその差はひらいていくものです。

マラソンのようにゴールが決まっていて、それに向かって走り切ることが重要です。

ゴールが決まっていなければ、どのような経路を走って良いかすらわからないものです。

経営も同じように、将来のビジョンがより具体的な方が、そのなりたい姿への最短経路を考えることができるでしょう。

鍼灸師として就職か、独立開業か?

鍼灸師は、医療系資格の中でも数少ない、開業権がある医療系の国家資格です。

そのため、国家資格の取得後、数年間は鍼灸院や病院への勤務、または、有名な治療家へ弟子入りをしたあとに、独立開業をする人が多いようです。

社会人を経験した皆さんは、このまま今の勤務先で勤め上げるべきか、ある程度の経験や知識を習得した際に独立するべきか、人生の中で一度は考えたことがあるかもしれません。

鍼灸師に限った話ではないですが、技術や知識の習得に終わりはありません。

仮に、あなたがある程度の技術や知識を身につけた治療家として、一人前に患者さんを診ることができるようになったとします。

では、鍼灸師として、治療院に勤務している自分を想像してみてください。

あなたはどのタイミングで、独立や開業を考えるでしょうか。

あなたのことを指名してくれる患者さんが増え、いま勤めている治療院とあなたの施術方針が異なっていると感じた時、あなたは独立を考えますか?

これまでのあなたの経験や専門分野を活かし、鍼灸業界を盛り上げていきたいと感じた時、あなたは開業を考えますか?

鍼灸師として就職することと、独立開業することの違いについて解説します。

鍼灸師として治療院に就職する

あなたが、鍼灸師としてどこかの鍼灸院や整骨院、病院、サロンなどに就職したとします。

治療院に就職することのメリットは、雇用を確保できることです。

これは全ての職種に共通することですが、個人ではなく会社員の一人として、鍼灸師の資格を活かし、働くことです。

一般企業に勤める会社員のような扱いなので、治療院によっては、研修制度が充実していたり、給料が安定していたりします。そして、ある程度の患者さんが来院する見込みが立てられます。

また、長期間続いている治療院や病院であれば、その経営のノウハウを学ぶこともできるでしょう。

就職する場合は、雇用されているという安心を手に入れることができます。

鍼灸師として開業する

鍼灸師として開業する場合、国から定められている細かな規定をクリアしなければなりません。

例えば、店舗の構造設備として、6.6平方メートル以上の施術室と、3.3平方メートル以上の待合室という基準があります。

また、病院が入っているビルで、その病院と同じ階層で、鍼灸院を開業することは禁じられています。このような細かなルールや関係法規を勉強した上で、開業することが必要です。

また、開業にはお金がかかります。自宅の一室で開業するのか、マンションやテナントを借りての出店なのか、やり方は様々ですが、300万円前後の資金がかかることを頭に入れておきましょう。開業資金は自己資金なのか、融資なのか、融資の場合はどこからお金を借りるかなど、様々な検討が必要です。

開業した場合は、就職とは比べ物にならないような壁にたくさん当たるため、日々の勉強の積み重ねが重要です。

人によっては、鍼灸師として独立する場合、修行期間は長くない方がいいと考えます。これは、自分が施術に関わる機会が少なくなると考えるためです。

就職するのか、独立開業するのか。

これから、鍼灸学校へ入学するあなたも、将来この選択をするかもしれません。

あらためて、鍼灸師の魅力とは何か

鍼灸師は、患者さんの日常や人生に寄り添うことができる仕事です。

鍼灸師は、東洋医学の考え方のもと患者さんと接します。

医師は、西洋医学の考え方のもと患者を診ます。

これをわかりやすく解説していきましょう。

一輪のバラが咲いています。

バラに虫がついてしまいました。

あなたならどうしますか?

西洋医学では、薬を撒くなど、その虫を駆除する方法でバラの健康を保ちます。

東洋医学では、表に出ていない、根のことを考えます。

その根自体の健康や、根元が吸い上げる栄養やそのばらの育つ環境をしっかりと考え、虫のつかない強いバラを育てます。

これが東洋医学の考え方です。

つまり、このバラを人に置き換えてみてもわかりますね。

鍼灸師は、患者さんがなぜ病気になってしまったのか、病気になったという結果を取り除くことだけを考えるのではなく、その人を取り巻く仕事や生活のスタイル、ストレスや天気のこと、さらには、人間関係を一緒に考える職業なのです。

例えば、現代人の抱える症状で、非常に多いと言われている腰痛について考えてみます。腰痛はPC作業の多い現代人にとって、避けては通れない疾患かもしれません。

しかし、実はストレス性の腰痛の場合も多くあり、これによる症状はレントゲンやCT、MRIでは判断がつきません。

なぜなら、ストレスはレントゲンなどで映し出されないからです。

このような場合、整形外科へ通っても、特にどこも悪くないため原因不明とされ、痛み止めの薬を処方されるでしょう。しかし、痛み止めを飲んでも根本的な解決方法とは言えません。

痛み止めは、痛みをつかさどる中枢神経や抹消神経に作用し、痛みを忘れさせる一時的な措置です。

原因不明…でも、痛みがあることは事実です。

病院では特に問題は見られないと言われたのに、痛みは長引く一方…

このような場合に、鍼灸師の出番となるのかもしれません。実際に、これがストレス性の腰痛であった場合、鍼灸の治療がとても有効です。

長年病院にかかり、5年も痛みが全く改善せず悩まされていた方が、鍼灸治療を始め、痛みが緩和したということは、よくある話です。

鍼灸師は患者さんにとって人生の伴奏者

前述のよくある話ですが、皆さんは、鍼灸師がいったい何をしたのか気になりませんか?

鍼灸師は、その患者さんの生活に寄り添い、痛みが出てくる原因が外的な要因(ストレスや飲食不摂、睡眠不足など)であることを疑い、こうした原因で起こる症状に対してアプローチできます。

ストレスや食生活、人間関係、睡眠時間などの生活サイクルは、患者さん本人から聞くほかないため、その人の生活や人生に寄り添うことで、何が原因の不調かを探る必要があります。

また、鍼灸師は、予防医学のプロフェッショナルでもあり、やはり生活の実態を知った上で、その人に合った病気の予防について提案ができるという強みがあります。

東洋医学は、西洋医学のように、急性の疾患や、命にかかわる救急の病状には弱いですが、病気の予防や健康の維持には優れて有効的です。

人間は、人生をただ長く生きるのではなく、どのように幸せに生きるかが大切です。

それぞれが幸せであるためには、健康は不可欠でしょう。

疾病の予防から、実際の疾患の状態のケアやその人の心を満たすことができる鍼灸師は、まさに患者さんの人生の伴奏者と言えるでしょう。

記事のまとめ

鍼灸師の年収は、民間企業の会社員と同等程度の300万~420万円です。一方で、鍼灸師は開業権の認められた数少ない医療系国家資格のひとつです。

最近は複数店舗経営をする鍼灸院グループが増えており、そのエリアマネージャークラスで年収600~700万円の場合もあり、独立開業によってさらに高い年収を目指すこともできます。

そんな医療系国家資格である鍼灸師ですが、職業の魅力は患者さんの人生の伴奏者になれるということです。西洋医学とは異なる予防医学の観点から、患者さんの生活実態を知った上で、最良な提案によりその人の健康だけでなく心を満たすこともできる仕事です。

鍼灸師を目指す人は、実にさまざまな人がいます。皆さんがどんな志で鍼灸師に興味を持っているか、ぜひ周りにいる鍼灸師や同じくこの職業に興味のある人どうし話してみてはいかがでしょうか?

参考までに、鍼灸学校アンケート結果:なぜ鍼灸師に?その学校に?を用意しました。現役の鍼灸学生を中心に、なぜ鍼灸師を目指したのか?アンケートを取り、結果をまとめたものです。気になる方は、ぜひ読んでみてください。