鍼灸師の国家資格とお仕事
2018/3/28

鍼灸師とスポーツの関係:トレーナーは狭き門?

皆さんは、鍼灸とスポーツが密接に関わっていることをご存じでしょうか?

ここでは、スポーツトレーナーという職業や、スポーツ業界での鍼灸の活躍について紹介します。

スポーツトレーナーという職業について

鍼灸の大学・専門学校に入学すると、将来活躍したい、もしくは就職したい分野として比較的多いのが、スポーツの世界です。特に、スポーツトレーナーという職業に興味をもった高校を卒業してきた学生に多く見られる傾向にあります。

彼らの多くは、高校時代に部活を通して鍼灸に興味を持ったり、密接に関わったりした経験を持っているため、将来は自分がこれまで打ち込んできた競技や興味のあるスポーツの分野で活躍する選手をサポートしたいという気持ちが強いようです。

スポーツトレーナーという職業がどういった仕事をするのか?どういった人がなるのか?ということを解説していきましょう。

スポーツトレーナーは、様々なジャンルのスポーツ選手、またはチームの専属トレーナーとして、アスリートのコンディショニング管理やトレーニングの指導を行います。また、スポーツ選手には怪我がつきものなので、怪我の予防や故障時のリハビリテーションに対応できる医療人としても注目されています。

このスポーツトレーナーという職業自体に、国家資格などはありませんが、約9割のスポーツトレーナーが、はり師・きゅう師や柔道整復師の国家資格者やアスレチックトレーナーの資格者であり、医療に関する知識や経験が豊富である必要があります。

スポーツ分野は、鍼灸師や柔道整復師が間違いなく、活躍している業界であるといえます。一方で、スポーツトレーナーとして活躍することが、とても狭き門であると突きつけられることもまた現実です。

プロのアスリート選手やチームの専属トレーナーとなる場合は、各選手やコーチ陣との信頼関係を構築する必要があるため、選手自身よりも多くの専門的な医療の知識や経験が必要となります。スポーツトレーナーには、大きく分けて以下の2種類の働き方があります。

・アスレチックトレーナー

アスレチックトレーナーとは、メディカルコーチやメディカルスタッフとも呼ばれており、主に

チーム内の医療分野で仕事をするトレーナーを指します。

・コンディショニングトレーナー(フィジカルコーチ)

コンディショニングトレーナーとは、アスリートの筋力や瞬発力、持久力強化のトレーニングメニューを考えたり、実際のトレーニングを補助したりするトレーナーを指します。

なぜ?スポーツトレーナーは狭き門か

率直に言うと、スポーツ分野での求人数が圧倒的に少ないことに対して、スポーツトレーナーの志願者がそれなりに多いということです。

アスレチックトレーナーやコンディショニングトレーナーは、最近、日本でも少しずつ聞き慣れてきた言葉ですが、スポーツ選手やアスリートの専属トレーナーを雇う文化は、アメリカやカナダなどと比較すると、まだまだ浸透していない文化です。

プロの世界のみならず、アマチュアスポーツの分野でも、スポーツトレーナーの需要は高まってきていますが、まだスポーツトレーナーの志願者を受け入れる先が、少ないことが現状です。

また、スポーツトレーナーという職業は、基本的に単年契約であることも多いようです。仮に専属トレーナーとして働くことができた場合でも、すぐに契約解除とされる可能性もゼロではなく、この分野で長く活躍している方は、ごく一部なのかもしれません。

そういった意味でもスポーツトレーナーという職業で活躍することは、とても難しく、狭き門と言えるでしょう。

スポーツと鍼灸の関係とは

なぜ、スポーツと鍼灸は深く関係しているのでしょうか?医療系の国家資格という見方で解説していきます。

実は、日本の法律で「人の体に触れて医療行為を行うには、医療系の国家資格を保有する者に限る」と定められています。

このため、スポーツトレーナーという国家資格自体は存在しませんが、スポーツトレーナーになるためには医療系の国家資格の保有が必須で、その資格を取得することこそが、スポーツトレーナーになるための第一歩と言えるでしょう。

財団法人日本体育協会が認定するJASA-ATと呼ばれるアスレチックトレーナーの資格が存在します。この資格は国家資格ではないため、この資格のみではスポーツトレーナーとして、活動することは実質不可能に近いです。

なぜ医療系の国家資格が必要なのか

スポーツトレーナーは、その名の通りスポーツ選手やアスリートの専属トレーナーとして、日々選手の身体管理を任されるわけなので、医学の知識や骨、筋肉などの解剖学の知識が必要です。

また、スポーツ科学や救護の知識、ストレッチ、トレーニング方法やテーピング方法などの、幅広い知識や経験が必要となります。

スポーツ選手につきものである怪我の予防や、故障時のリハビリテーションにも対応しなくてはいけないため、医療系の国家資格が必要であるといえます。

では、なぜ鍼灸が関係するのでしょうか?

鍼灸師は、鍼、お灸を用いて、疲労や故障を改善できます。例えば、血流やリンパの流れの改善などはもちろん、筋肉の緊張状態を緩和させたり、白血球の数を増やすことで免疫を高めたりと、最近は怪我の予防や体調不良を改善できる面で期待されています。

スポーツ分野で活躍する鍼灸師とは?

ここまで、スポーツトレーナーという職業や、スポーツと鍼灸の関係について解説してきました。

また、スポーツトレーナーという職業が、海外と比較するとまだ浸透していない事実や、雇用形態などのことから、非常に狭き門であると説明しました。

しかしながら、鍼灸の大学・専門学校の中には、在学中からプロ野球やサッカーチームの中に入り込んで、研修することができるスポーツ特化のカリキュラムを持つ学校もあるのが事実です。

ここでは、特に触れませんが、実際に活躍され、多くの実績を残されている鍼灸師がいることも事実です。

スポーツトレーナーとして、日本だけでなく、海外のスポーツチームで仕事をする鍼灸師も存在するため、その活躍の幅自体は広がっているのかもしれません。