鍼灸師の国家資格とお仕事
2018/4/2

鍼灸師(はり師・きゅう師)の国家資格の取り方

皆さんは、鍼灸師の国家試験がとても難しいものとお考えでしょうか?

ここでは、鍼灸師の国家資格の取り方や国家試験の合格率推移について解説します。

鍼灸師(はり師・きゅう師)、あんまマッサージ指圧師の国家資格の取り方

鍼灸師、鍼灸あんまマッサージ指圧師になるためには、国家試験で合格することが必要です。

鍼灸師というのは、はり師、きゅう師の2つの国家資格保有者のことを指し、鍼灸あんまマッサージ指圧師は、はり師、きゅう師、あんまマッサージ指圧師の3つの国家資格保有者のことを指します。

いずれにせよ、国家試験に合格することが必要で、そのために4年制大学、もしくは専門学校を卒業することが必要です。

大学は4年制、専門学校は3年制の教育課程が敷かれており、それぞれのカリキュラムの中で国家試験に合格するための基礎知識、臨床で必要な実技や知識を習得します。

英検などのように、独学からこの国家試験を受けることはできず、必ず、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の国家試験受験資格を取得できる文部科学大臣の認定した学校、または厚生労働大臣の認定した養成施設での教育課程が必要です。

学校へ入学するための年齢制限は特になく、下は18歳の高校を卒業したばかりの若手から、上は定年後の65歳以上の年輩者まで、実に様々な年齢の人が鍼灸師を目指し、通学しています。

本科と専科って何?

はり師、きゅう師の国家資格のみを取得する場合と、はり師、きゅう師に加えて、あんまマッサージ指圧師の国家資格を取得する場合では進学しなくてはならない学部、学科(修了しなくてはならない課程)が異なります。

はり師・きゅう師のみ:専科

はり師・きゅう師、あんまマッサージ指圧師:本科

学校に入学した後で、急に変更することはできません。ただし、学校によっては学年が変わる際に転部制度を設けている学校もあります。

まずどの国家資格を取得したいかを考えて、進学する学校を選択しなくてはなりません。

ここで注意すべきことは、学校はあくまでも国家試験の受験資格を得るために通うもので、本科・専科を卒業したからといって必ず国家試験に合格できるということではないのです。

本科・専科とあんまマッサージ指圧師にできることについては、本科や専科、夜間部など|鍼灸師を目指せる学校とは?で解説していますので、そちらをご覧ください。

国家資格の種類と取得

一般に、鍼灸師といわれる職業は2つないし、3つの資格を持った国家資格者のことを指します。

上記で少し触れましたが、資格の種類についてはここで解説します。

・はり師

・きゅう師

・あんまマッサージ指圧師

この3つの国家資格について、鍼灸師と一口に呼びますが、実は大きな違いがあります。

はり師、きゅう師の2つの国家資格保有者と、はり師、きゅう師、あんまマッサージ指圧師の3つの国家資格保有者の2パターンです。

鍼灸師というと、一般的に、はり師、きゅう師の国家資格保有者を指しますが、3つの国家資格保有者は総称して「あはき師」と呼ぶこともあります。

どちらも鍼灸師であることは変わりませんが、鍼灸院や病院の中には、あんまマッサージ指圧師を加えた3つの資格保有者のみを募集している求人もありますので、このあんまマッサージ指圧師の資格を取得した方が、将来的に活躍できる現場が増えるといった可能性もあります。

では、実際に資格取得までの道のりについて解説していきましょう。

国家資格取得までの道のり

資格取得までは、いずれにせよ4年制大学の教育課程か、3年間の専門教育課程で学習することが必要です。

資格の種類、数にかかわらず、大学を選択した場合は4年で、専門学校を選択した場合は3年で、鍼灸師の国家試験の受験資格を得ることができます。

よくある質問として、はり師、きゅう師2つの国家資格を取得する場合は3年で、3つの資格を取得する場合は4年の教育課程なのでしょうか?と聞くことがありますが、そうではなく、大学か専門学校かという違いです。

資格によって在学日数が変わるわけではなのです。

また、国家試験はすべて別日程で行われます。

例えば、本科へ進学した場合に、はり師、きゅう師の国家試験には落ちてしまいましたが、あんまマッサージ指圧師の国家試験には合格したという話を聞くこともあります。

この場合は、その年度からはり師、きゅう師として施術所などに勤務することはできません。

鍼灸師の国家試験ってどんな内容?

【受験資格】

これまで受験資格について何度も触れてきましたが、鍼灸師を目指す人は、鍼灸師の国家試験受験資格を取得できる大学・専門学校への通学が必須です。

独学で学んだからといって鍼灸師の国家試験を受験することはできません。

また、鍼灸学校に入学したあとで、卒業試験に合格し、学校内で行われる実技の試験に合格している必要があります。

また、そのほか欠格理由として、以下のようなに厚生労働省令で定められています。

・麻薬、大麻またはあへんの中毒者

・罰金以上の刑に処されたもの

・前号に該当する者を除くほか、第1条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

(第一条とは:第一条医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない)

つまり、窃盗罪や強盗などで罰金刑以上に処された場合は、免許を与えられないということです。

厳密にいうと、車などの人身事故で相手を死傷させて場合もこの欠格事由に該当します。

ただし、裁判などの審議過程を経て免許の取り消しや、免許取得の可否はきまるので、必ずしも欠格事由に該当するとは限りません。

また、学校によっては前科がある場合は、そもそも入学ができないこともありますので注意が必要です。

【受験方式】

健常者の場合:マークシート

視覚障害者の場合:点字、白紙記入(方法を選択可)

【試験内容】

はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師の試験は3つとも異なります。

では、過去に一体どんな問題が出題されているのでしょうか。実際に見てみましょう。

すべて選択問題です。

国家試験の過去問を見てみましょう

はり師きゅう師国家試験問題過去問(抜粋)

第25回午前問題より

・我が国の平成26年の業務上疾病で最も多いのはどれか。

(1)災害性腰痛

(2)物理的因子による疾病

(3)じん肺及び合併症

(4)化学物質による疾病

・医療保険について正しいのはどれか。

(1)現金が支給されることはない

(2)協会けんぽは被用者保険である

(3)いしの同意を得た鍼灸施術は療養の対象となる

(4)組合管掌保険は自由に付加給付を行うことができる

あんまマッサージ指圧師国家試験問題過去問(抜粋)

第25回午前問題より

・施術者と患者の関係で望ましくないのはどれか

(1)信頼

(2)共感

(3)従属

(4)協力

・一次予防はどれか

(1)脳卒中予防のための減塩指導

(2)がん検診の受診

(3)難病患者の生活支援

(4)うつ病疾患者の社会復帰

このような問題が過去にありました。

今はわからなくても、すべて学校の授業ではしっかり教えてもらいます。

こうした内容の試験が選択式に出てきます。

どれくらいの勉強時間が必要?

こればかりは個人の能力差が挙げられますが、実際の学生を見てみると、1日1~2時間は必ず勉強の時間を取っている学生もいれば、特別な勉強時間は設けていないが電車などの移動時間は必ず教科書を読んでいる学生もいるようです。

なかには、授業のみで学習が足りる学生もいますが、2年、3年と学年が上がるにつれて授業数も増えるため、一概には言えません。

ただし、国家試験前やテスト前になると大多数の学生が、仕事の合間の隙間時間はすべて勉強の時間に費やしているようです。

一般的な大学や専門学校の光景と同じですね。

鍼灸師を目指すために学校へ進学した人の最終的な目的は、国家試験に合格することではなく、鍼灸師になって一人でも多くの人を治療し、その人の人生の健康の手助けをすることでしょう。

国家試験の合格は鍼灸師への第一歩

国家試験の合格は、そういった治療家になるための第一歩であり、学校への入学は鍼灸師としてのスタート地点に立つための下積みでしかないのです。

日常的なテストの突破のために勉強することも大事ですが、将来も記憶に残るような勉強方法をすることが理想的です。

学校や国家試験のための勉強という意識よりは、治療家、医療人として将来に役立てられるような勉強方法をおすすめします。

このことから言えるのは、毎日の勉強の積み重ねが、治療家になったあと、必ず役に立つということです。

鍼灸師としての本番は国家試験に合格して、治療家としてデビューし、実際に患者さんを診るようになったところであることを決して忘れてはいけません。

合格率の推移

鍼灸師の国家試験の合格率は、はり師・きゅう師ともに、第一回から70~80%前後を推移していました。

本科を卒業した場合は、あんまマッサージ指圧師の国家試験も同時に受験が可能ですが、あんまマッサージ指圧師の合格率は、はり師・きゅう師よりも合格率が高く85~90%の間で推移しています。

特別大きく変動はありませんが、平成28年度には合格率が70%を割り、平成29年度には、はり師の国家試験の全国合格率は57.7%になり60%を下回りました。

これは年々、鍼灸師の国家試験内容が難しくなってきているためと推測できます。

近年新しい疾患が増え、それに対応すべく、医師同様とは言わないものの、鍼灸師に求められるレベルが見直されつつあります。

こうした現状を踏まえ、鍼灸師にもより高いレベルを求められるようになったことがわかりますが、3年間しっかりと学校に通い学習することで対策することが可能でしょう。

また国家試験の受験人数もおおよそ4,500~5,500人の推移であることがわかります。国家試験の合格率に人数は関係ないため、あくまで国家試験合格は絶対評価となります。

つまり、しっかり合格のボーダーラインをクリアしていれば、受験者数は多くても鍼灸師の国家試験に合格することは可能です。

こうした受験者数と合格率からわかるのは、毎年3,500~4,000人前後が新たな鍼灸師として世の中に誕生していることがわかります。

このすべての鍼灸師が仲間であり、将来のライバルとなることをよく理解しておきましょう。