鍼灸師の国家資格とお仕事
2018/3/28

鍼灸師と柔道整復師の国家資格:整体と整骨の違いとは

整骨、接骨、整体

この3つの言葉は、皆さんも道を歩いていてよく目にすると思います。

その名前も漢字も似ていることから、この言葉の違いを知らない人も多くいるのではないでしょうか。この3つの言葉は、実は1つ全くの別物なのです。詳しく解説します。


整骨院と接骨院


整骨院と接骨院というように、それぞれの呼び方は異なりますが、治療院で行われていることはほとんど同じです。というか、むしろ差はありません。

整骨院も接骨院も国家資格者である柔道整復師がいる治療院です。


施術者はすべて国家資格の有資格者となります。整骨院および接骨院では骨折、脱臼打撲の怪我などの治療を行ないます。


また交通事故の負傷(むちうち、その後遺症)の対応も可能、そのほかにも姿勢矯正や肩こり、腰痛や関節痛の日常的に起こる体の不調で通院している人もいます。


もちろん、保険適用での治療も可能ですが、これには様々な条件が存在しますので、受診する場合は一度治療院に相談することをお勧めします。


いずれも、保険適用での治療をする場合は医師の同意が必要ですが、急性疾患の場合は同意が不要でも保険適用治療が可能の場合があるので、こちらも相談することをおすすめします。


※いかなる外傷の場合も、診断名をつけて診断を下し、診断書を発行することができるのは医師のみとなります。


ではなぜ名前が異なる2つの呼び方が存在するのでしょうか?


整骨院と接骨院の違いはなに?


この名前の違いは、その名前が法律上認められているかどうかということです。


接骨院:法律上認可されている

整骨院:法律上認可されていない


では、整骨院は違法なのかという疑問が生まれますが、そうではありません。

接骨院や整骨院、どちらの名前を許可するかは地域の保健所が決定権を持ちます。

その自治体の保健所から許可があれば、整骨院という名前での開業は可能です。


接骨院と整骨院の治療内容に差異はなく、ここで働く先生は皆、国家資格である柔道整復師の医療免許を持ってる人に限られていますので、安心してください。


なぜ、わざわざ法律で認められていない名前を使うのでしょうか。

これは接骨院というよりも整骨院と表記した方が、骨を整えるイメージが伝わるからといった理由が一般的だそうです。


繰り返しになりますが、整骨院または接骨院は、国家資格である柔道整復師が施術者であり、代替医療を行う治療院ということを覚えておきましょう。


整体や整体院って何なの?


ひとことで言ってしまうと、整体院の施術者は国家資格者ではありません。整体はあくまで民間療法であり、施術に携わる人も国家資格などは持っていません。


国家資格でないため、整体の方法について定まったやり方はないのです。整体はカイロプラクティックと言われる場合があります。

カイロプラクティックについては、アメリカで資格が認められているものの、日本においては国家資格制度が存在しません。整体は施術者による医業類似行為となるため、もちろん保険の適用もありません。


また、リラクゼーションやリフレクソロジーといわれるようなトリートメントを行うような施設との差別化も難しい傾向にあります。こうした施設で働く人も、国家資格は持っていません。


手法に関しても、整体と同じく定まったやり方はなく、一般人がアルバイトとしても働くことができます。皆さんは、人体の知識が全くない人でも働けてしまう、整体やリラクゼーション、リフレクソロジーのことを知っていましたか?


柔道整復師とは


柔道整復師は主に骨折や脱臼を治すことができる国家資格で、捻挫や筋肉の外傷も診ることができます。

彼らは柔道整復師という国家資格者であり、柔道整復師を略して柔整と呼ぶことがあります。名前の通り、柔道からで生まれた整復技術をもとに治療します。


WHO認定の『世界の伝統医療』にも、柔道整復師は登録されており、海外では『柔道セラピスト』として認知されはじめています。


鍼灸師との関係は?


柔道整復師は骨折や捻挫などの外傷を診ることができ、鍼灸師は筋肉の奥のこりや痛み、神経系の疾患などを診ることができます。


柔道整復師が行うことのできる骨折や脱臼、外傷を診るということは一見、西洋医学です。骨折のパターンによって、折れた骨がどのように向いてしまうかなど、柔道整復師は、解剖学的な観点で主に勉強をしています。しかしながら、柔道整復の技術の起源は中国にあります。


1691年に陳元という人物によって、整骨術といわれる術と柔術が、江戸と長崎で広められたことが始まりとされています。中国から伝わった技術ということから、根本的な考え方は、中国で発祥した東洋医学です。


その後、江戸時代、明治時代と時代を重ねるごとに、日本では西洋医学の流れがもたらされ、法律の整備などが進み、医師以外は医業の開業ができなくなりました。

柔道整復師はこのあおりを受け、長い歴史のなかで、存続の危機に陥ったこともあります。鍼灸師もまた柔道整復師と同じで、西洋医学の風が吹くなかで、非正統派の医療とされ、存続の危機を経験しています。


こういった逆風もありましたが、柔道整復師と鍼灸師は、代替医療や医業類似行為を行う治療家として、現在の地位を確立してきました。そしていまの時代、急性の症状にはもってこいの柔道整復師と、リハビリや養生に有効的な鍼灸師が同じ場所で仕事をするメリットも増えているようです。


起源は同じ東洋医学ですが、辿ってきた歴史やそのなかで磨かれた思想などは異なり、治療の方法や治療可能な領域も異なる柔道整復師と鍼灸師。


似て非なるこの2種類の治療家が一緒に力を合わせることによって、お互いの技術や治療法に敬意を示し合い、今まで以上によい関係を保ちながらこの業界を盛り上げていきたいものです。