鍼灸師の国家資格とお仕事
2018/8/1

鍼灸師がどんな仕事・職業か知ろう

鍼灸師は、幅広い疾患に対応できる治療家です。


鍼灸師の仕事は、その名の通り、患者に対して鍼(はり)とお灸(きゅう)で施術をすることです。鍼とお灸では、実はその役割が異なり、使い分けは、鍼灸師の考え方や流派などによっても変わります。


鍼灸師は、「はり師」、「きゅう師」の国家資格を持つ人のことを言います。鍼灸師という資格はありません。

また、あん摩マッサージ指圧師という資格もあります。あん摩マッサージ指圧師は、マッサージ(手技とも言います)ができます。


さらに、鍼灸師のなかには、患者の話を丁寧に傾聴することを重視する人が多くいます。

疾患や症状にもよりますが、このカウンセリングとも言える患者と鍼灸師との対話により、何か心が軽くなった、楽になったという患者も多くいます。


これを「クチ鍼」と呼ぶ鍼灸師もいます。


このように、はり・きゅう・マッサージ、そして患者とのコミュニケーションを駆使して、様々な疾患・症状を治療するのが鍼灸師のお仕事です。


それでは、鍼灸の適応疾患について見ていきましょう。


WHOが認める鍼灸の適応疾患


鍼灸は何に効くの?という人も多いと思います。おじいちゃん、おばあちゃんの肩こり・腰痛のためのものという認識の方が多いのでしょうか。


また、最近はモデルや有名人、スポーツアスリートまで、顔に鍼が刺さった写真をSNSなどにアップして話題になっているため、美容鍼灸をご存知の方もいるかもしれません。


鍼灸の適応疾患は幅広く、WHO(世界保健機関)は以下の疾患に鍼灸は効果があると認めています。NIH(米国の国立衛生研究所)も、鍼灸治療は、様々な疾患や病気に対する効果とその科学的根拠、さらには、西洋医学の代替治療としても有効であるとしています。


鍼灸が有効である病気・症状は、以下の通りです。


【運動器系疾患】


関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)


【婦人科系疾患】


更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊


【循環器系疾患】


心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ


【呼吸器系疾患】


気管支炎・喘息・風邪および予防


【神経系疾患】


自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・ノイローゼ・ヒステリー


【消化器系疾患】


胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾


【代謝内分秘系疾患】


バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血


【生殖、泌尿器系疾患】


膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎


【耳鼻咽喉科系疾患】


中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎


【眼科系疾患】


眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい


【小児科疾患】


小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善


病気の手前の未病治療もできる


西洋医学の定義では、健康と病気という2つの分け方しかありません。しかし、東洋医学では、健康と病気の間に、「未病」という領域があるとします。


病院に行っても、異常は認められず、健康ですと言われるけど、なんか体の調子が悪いんだよなあという経験をしたことがある方もいると思います。


体がやたら重い、体がいつも冷えてつらい、原因がわからない頭痛やめまいがある、こういった症状を東洋医学では「未病」と呼びます。


鍼灸や漢方など東洋医学では、この未病の治療も得意としています。


西洋医学ではどうにもできない、未病の症状が治って驚いたという経験で、自ら鍼灸師の道に入ろうと思った鍼灸師は多いと聞きます。


鍼灸師はどこで仕事をするの?


鍼灸師は、基本的には鍼灸院でお仕事をします。自分で開業して鍼灸院を経営するか、どこかの

鍼灸院に勤めるかの2つに大別されます。


職場という意味では、柔道整復師という、鍼灸師とはまた別の国家資格を持つ人たちと働く鍼灸整骨院・鍼灸接骨院という職場もあります。


また、エステサロンの中で美容鍼灸師として活躍する、病院やクリニックのなかの鍼灸科・鍼灸外来・リハビリステーションといった場所で鍼灸施術をする方もいます。


日常的な業務だけに限定しなければ、マラソン大会や音楽フェスの鍼灸ブースもあります。福利厚生で鍼灸を導入している企業への出張治療、高齢者向け介護施設やリハビリステーション、保健施設なども含まれます。


教員養成課に進み、鍼灸師の育成の道を歩む人もいます。


ますます広がる活躍分野


前述のとおり、肩こり、腰痛、ギックリ腰、四十肩・五十肩、捻挫・打撲などの運動器疾患や、生理痛、生理不順、PMSなど婦人科疾患と言われる疾患を始め、いわゆる「治療」という分野で活躍する鍼灸師は多いです。


最近は、美容鍼、美容鍼灸という分野は急拡大しています。

リフトアップ、小顔効果を始め、しみ・しわ・ほうれい線、ニキビや肌荒れ、くま・くすみなどにもアプローチするため、美容鍼灸師の活躍は広がっています。


さらに、最近注目を集めているのが「不妊鍼灸」です。

不妊治療のために病院やクリニックに通っている患者さんが、不妊鍼灸院への通院も併用するケースが増えています。一方で、不妊治療は継続が必要になるケースが多く、また治療費がやや高額になることもあるため、鍼灸院にとっても業績をあげやすいがゆえに、安易に不妊鍼灸を始める鍼灸院も多いと聞きます。


不妊分野で鍼灸治療を行うためには、鍼灸師といえども、生殖医療に関する正しい知識、最新知識を常に取り入れ続ける必要があると言われています。


鍼灸の活躍分野で昨今さらなる広がりを見せているのは、スポーツ分野です。

プロアスリートがメンテナンスや怪我の治療などに鍼灸施術を取り入れるケースが増えていることを背景に、スポーツトレーナーとしてプロチームや企業チームとの契約や、スポーツジムでトレーニングと合わせて鍼灸治療を提案するなど、スポーツ鍼灸も広がっています。


高齢化社会を受けて、介護分野や在宅医療、訪問マッサージでの活躍も今後さらに鍼灸師に期待されている役割と言えるでしょう。


鍼は必ずしも刺さなくても効果が期待できるため、子供・小児向けのささない鍼治療という分野で活躍している鍼灸師もいます。


それ以外に、妊婦さんの体調管理や安産のためや、逆子治療、さらに育毛や、うつ病や自律神経失調症をはじめとした精神疾患治療にも鍼灸が使われることがあります。


数年前に海外著名人や日本の政治家含めて、氷水の入ったバケツを頭の上からかぶるパフォーマンスが話題になったALS(筋萎縮性側索硬化症)や脳梗塞などによる半身不随・全身不随に対する治療、アトピー性皮膚炎なども含めて、ここまでにご紹介したとおり、

非常に幅広い分野で活躍できるのが鍼灸師であり、その選択も自由に決めることができるのが鍼灸師という仕事の魅力の1つと言えるかもしれません。

記事のまとめ

鍼灸師は、はり・きゅうと患者さんとのコミュニケーションを通して、その人のお悩み・症状を治療するお仕事です。

鍼灸の適応疾患は幅広く、WHOやNIHも、様々な疾患や病気に対する効果から西洋医学の代替治療としても有効であるとしています。

特に美容や不妊といった分野で、鍼灸師の活躍の幅が広がっています。

参考までに、話題の美容鍼灸師ってどんな人?どんな職業なのかを用意しました。数多くある鍼灸の学校の中から自分に合った学校を見つけたいという方は、ぜひ読んでみてください。