鍼灸学校ってどんなところ?
2018/3/31

鍼灸の学校って何を学ぶの?座学から臨床実習まで

鍼灸の大学・専門学校ではどんなことを学ぶのでしょうか?

国家試験科目に対応した授業から実技授業、また2018年度から始まる新カリキュラムについて解説します。

鍼灸学校の授業ではどんなことを学ぶの?

鍼灸師の国家試験の内容は以下の通り14科目です。学校の授業はこの14教科を主な履修教科とし、必修科目としています。

このほかに、鍼、灸、あんまマッサージ指圧(本科のみ)の実技があります。実技の方法はそれぞれの学校により違うことが多いです。

例えば、A学校は鍼灸の実技授業にスポーツ鍼灸実技や美容鍼灸実技という名前がついていて、それに特化した技術を教えてくれますが、B学校では鍼灸の授業は鍼と灸を一緒に行う実技授業の形式で、解剖と経絡経穴の授業と少しずつリンクしている内容となっており、学校により様々な授業の形式が取られています。

国家試験科目に対応した授業

主に東洋医学概論や生理学など、国家試験科目に対応した授業がメイン科目となりますが、人によっては基礎科目授業を受講する必要があります。

【国家試験科目】

・医療概論

・衛生学公衆衛生学

・関係法規

・解剖学

・生理学

・病理学

・臨床医学総論

・臨床医学各論

・リハビリテーション医学

・東洋医学概論

・経絡経穴概論

・東洋医学臨床論

・はり理論きゅう理論

※基礎科目受講対象者について

短期大学士、学士課程以上の学位がない場合は、基礎科目授業を受講する必要があります。

簡単に言うと、鍼灸学校に入学する前に、専門学校、短期大学、4年生大学、大学院を卒業していない場合は基礎科目受講の対象となります。

基礎科目の内容は、これまた学校によりますが、医療英語や中国語、人文科学、心理学、社会学、古典、栄養学といった授業があります。

いずれの場合も、一般的な4年生の大学と違い、好きな科目を履修登録して単位を取っていくというスタイルではなく、1年次の必修科目は全員同じで、必ず学校の課すテストに合格する必要があります。

万が一、このテストを突破できない場合は留年もしくは退学となり、留年の場合は再度の科目を履修する必要があります。一般的な大学・専門学校と同じです。

座学以外の実技授業

前述したように、実技の名前はそれぞれで、特化している専門分野は各々違いがありますが、大枠の実技授業の内容は同じで、

本科:鍼・灸・あんまマッサージ指圧

専科:鍼・灸

となっています。

内容としては

・基礎実技

・あんまマッサージ基礎実技

・鍼灸実技

・スポーツ鍼灸実技

・美容鍼灸実技

・高齢者鍼灸

・レディース鍼灸

など、専門的な実技授業の内容は学校により異なります。

実際の授業はどんな感じか、各授業の内容は以下の通りです。

【鍼の実技授業】

鍼の実技授業では以下のような道具を使用します。

・シャーレー

・ディスポーザブル鍼

・指サック

・綿花

・聴診器

・血圧計

・銀鍼

鍼の実技授業なので、クラスメイトとペアになり、お互いに施術練習をします。つまり、お互いに鍼をうちあって練習をするということです。

鍼灸師は問診の際に血圧を測ることもあるため、聴診器を使用して血圧を測る練習もします。

鍼は、鍼自体に種類があり、それぞれ太さ、長さ、素材、形状が違います。これらの鍼をうつ場所や主訴により使い分けるのです。鍼のメーカーも様々あるため、学校によって使用する鍼には違いがあります。

各授業には先生がいるので、その先生から出される課題に沿って実技授業を進めていきます。

例えば、人体には経穴と言われるツボが361穴あり、このツボは14個の体中をめぐる線路の上に存在します。この線路のことを東洋医学では経脈と呼びます。

この線路のような線路、つまり経脈の種類は14種類あって、まず、鍼灸師を目指す学生はそれを覚えることから始まります。

このことを踏まえて、先生が本日は足の陽明胃経(14経脈の1つ)の取穴をしましょう、と言われればそのツボを探して取穴し、指定されたツボに鍼をうちます。

皆さんはもしかしたら足三里という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。この足のツボは陽明胃経に属します。

また、胃経というくらいなので、胃の疾患に使用するこうしたツボの組み合わせなど、使い方を覚えるため、1年次には、とにかくたくさんのツボとそれを正しく取ることを学びます。また、鍼をうつときに使用する鍼管という道具を片手で操作できるように、【片手挿管】という技も学びます。これができると、とてもかっこいいですよ。

【灸の実技授業】

灸の実技授業では以下のような道具を使用します。

・もぐさ

・シャーレー

・脱脂綿

艾(もぐさ)は、蓬の葉を乾燥させたものです。鍼灸学校で行う実技では、このふわふわの艾をひねって米粒大にして、火をつける手法で行います。よく市販で売っている台座のついたお灸ではなく、実際に皮膚の上で、この艾を燃やし、熱を伝える透熱灸をと言われるお灸の施術方法を学びます。

この艾をひねる【艾ひねり】という技をまず学びます。簡単そうに見えて、とても難しい技術です。艾は大きさと湿度、硬さで燃焼の温度が変わるため、熱すぎず気持ちのいいお灸の技術を手に入れるためには、艾ひねりの練習がたくさん必要です。

学生は夏休みになるとこの小さな艾を1日に100壮立てて、自宅練習することになるはずです。

お灸は冷えなどに良く効くため、実技でお灸が上手な友達にやってもらうと、とても気持ちのいい手技です。

あんまマッサージ指圧の実技授業とは

あんまとマッサージは別ものであることをご存知でしょうか。

あんま:薄い着衣の上から、遠心性

マッサージ:素肌に直接、求心性

上記のような違いがあり、遠心性とは心臓から遠くに、求心性とは心臓に向かって行うことです。

皆さんが良く知っているかたを揉む行為はあんまに近く、マッサージは手首や足首、腕の内側やふくらはぎに施術を行い、リンパの流れを意識します。

クラスメイトとペアになり、実技授業を行います。マッサージの授業はタルクといわれる滑剤か、オイルを使用します。どちらを使うかは学校によります。

あんまの授業もマッサージの授業も、体重のかけ方や立ち位置によって力の入り具合がかなり変化します。これまで、何の知識もなく行なっていた肩揉みは、10回ほどやると腕が疲れてきますが、こうしたプロのわざを身につけると辛く無くなります。

(プロの技を身につけるとご自宅でも重宝されますよ)マッサージでは出来立てガングリオンを潰す手技などを学ぶことができ、実際にガングリオンができている生徒のものを散らしてみたり、マッサージ前後で関節の可動域が広がったりするので、実際の医療の現場でもすぐに取り入れられる手技を学ぶことができます。

2018年度から始まる臨床実習教育などについて


2018年度の入学生から、はり師、きゅう師、あんまマッサージ指圧師の教育カリキュラムが大幅に変更になります。これは厚生労働省によるあんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師学校養成施設カリキュラム等改善検討会により決定された事項です。


卒業までに必要な取得単位数や最低履修時間の増加など大幅に変更されますのでその内容を紹介します。


【単位数の変更】


2018年度から、単位数は本科、専科でこのように変更となりました。

あんまマッサージ指圧・はり師・きゅう師:93単位以上から100単位以上へ変更

はり師・きゅう師:86単位以上から94単位以上へ変更


【最低履修時間の引き上げ】


あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師は2835時間以上

はり師・きゅう師は2655時間以上


履修の時間は最低履修時間の設定以上であれば、あとは学校によって卒業までの理趣時間数は異なります。ある学校の例でいくと2017年度入学と2018年度以降の入学では約250時間ほど履修時間が増加となります。


【追加カリキュラム】


単位数、最低履修時間の改定のほかに、新たに教育カリキュラムとして加えられたものもあります。簡単に言うと2017年度までの入学者は履修しない教科であって、2018年度以降の入学者は必修科目として学ぶ教科が増えるということです。

【教員の数が増える】


授業時間が増加しますから、当然とし専任教員数も増やすことになります。

鍼灸師、鍼灸あんまマッサージ師を取り巻く環境は時代によって変化してきました。

鍼灸師は医療資格の中でも開業することができる数少ない医療資格のため、昨今問題となっている診療報酬の不正請求などに関しても、今一度しっかり教育されるべきであると厚生労働省は考えています。


質の高い鍼灸師、あんまマッサージ指圧師の育成のためにも今回の改定に至ったようです。今後一人一人が鍼灸師に求められているレベルをしっかり底上げして、信頼される治療家を目指していきましょう。