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首こり、首の痛みの治療には鍼が一番!な理由

投稿日:2016/12/07

首が痛い時はどこに行く?

首がこりすぎて頭痛やめまいがする、首が痛くて動かせないといった時、皆さんはどこで治療してもらいますか?

首に異変を感じた時、多くの方はまず整形外科でレントゲンやMRIといった画像診断を受けられることでしょう。そこで「少しヘルニアがあります」「ストレートネックですね」と言われて、マッサージや牽引、電気治療を受けた後、シップをもらって帰るというのが最初にたどるコースだと思います。整形外科の治療で良くなれば問題はないのですが、痛みが全く取れなかった場合、患者さんの治療院巡りが始まります。マッサージ、整体、整骨院、カイロプラクティック、オステオパシー、ストレッチ専門店、鍼灸院など、巷には首の治療をする場所が多く存在しますが、最終的には「手技(手で行う施術)」か「鍼」かの選択肢になるようです。

当院にも、首がつらくて色々な治療を受けて来たけど、鍼は初めてという方が結構な数いらっしゃいます。そこで「なぜ鍼を受けてみようと思ったのですか?」と聞いてみたところ、「マッサージや整体ではその時良くなったと思ってもすぐに戻る」「指でぐいぐい押されてよけいに痛くなった」「首自体をあまり触ってくれない」「深いところに原因があると解っているので、もう指では無理だと思った。ちょっと怖いけど鍼が一番良いような気がした」といった答えをされました。また、ある患者さんはこんな話をされました。「首こりや首の痛みで悩んでいる人は多いと思う。とりあえずマッサージや整体などの身近で行きやすい所に行ってみるけど、そこで効果がなかった時にはどこに行っていいのか解らず途方にくれます・・・」と。

かつて、ひどい首こり、首の痛みに10年以上悩まされ、全国の整体院、整骨院、整形外科を渡り歩いて来た40代の男性が来院されたことがありました。彼は10代の頃にスノーボードで転倒し、後頭部を強打してむちうち症になったのですが、少し時間がたつと症状が治まった為、そのまま放置していました。しかし、30代になった頃から激しく首が痛むようになり、首の痛みに伴って吐き気や頭痛、突然心臓がバクバクして死ぬんじゃないかと思うようなパニック様発作まで発症し、仕事にも行けない状況にまでなってしまいました。10年以上もの間、良いと噂を聞いた整体院や整骨院、整形外科で治療を受けてはみたのですが症状は一向に良くならず、困り果てて「こうなったら鍼でもやるしかないか・・・」と鍼灸院にいらしたのです。その方の何度目かの治療の時に「10年の間に鍼を試そうと思った事はなかったのですか?」と聞いたところ、「まったく選択肢になかった」と答えられたのには鍼灸師としてとてもショックを受けました。この患者さんは3か月ほどで首のこりや痛みも取れ、徐々に仕事にも復帰することが出来ました。初診から数回の治療で鍼の効果を感じてくださったのか「俺の10何年間の苦しみはなんだったんだろう」と仰ったのがとても印象に残っています。

これほどまでに首の治療においては選択肢の下位にいる鍼治療ですが、首こり、首の痛みには鍼が一番安全で効果が高いと私は思います。これは私が鍼灸師だから言うのではなく、私自身が長年首こりで色々な治療を受けてきた結果の患者としての実感です。

 

 首こり・首痛の治療には鍼が一番!の理由

前述したように、鍼は首こり・首の痛みの治療を望む人からほとんどファーストチョイスされていないのですが、これはとても残念でもったいないことです。というのは、鍼は「寝違え(※)」「むちうち」「慢性的なこり」などの首の筋肉の損傷には絶大な力を発揮するからです。※寝違えは、発症してすぐの炎症を起こしている時は、患部への鍼治療は不適応です。

まずは下の図をご覧ください。首の筋肉です。

首には『頭頚(とうけい)部の運動に働く筋』『咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ(飲み込み))に働く筋』『呼吸の補助筋』と、合わせて22種の筋肉があります。これらの筋肉は体の他の部分と比較して、とても細く小さな筋肉です。その細くて小さな筋群が、まるでミルフィーユのように何層にも重なって狭い首に密集し、成人なら5,6kgもある重い頭を支えながら、様々な働きをしています。また首の後ろ側には自律神経の副交感神経が密集している為、首に過度な刺激を与えるとこの副交感神経の働きが変調し、重大な病気につながることもあります。このような首の筋肉の構造を理解していただければ、手や指で患部に触れる「面」で刺激を加える施術より、髪の毛と同じくらいの太さしかない鍼による「点」で行う施術の方が刺激が少なく、ピンポイントで治療するのに適しているのはお分かりになるでしょう。以下に首こり・首痛の治療には「手技」ではなく「鍼」が最適な理由を一つ一つ挙げていきます。

 理由1.指ではコリのある筋肉をピンポイントでとらえられない。

首の筋肉の図をご覧いただければお分かりになる通り、首にある筋肉は小さく細い筋肉がほとんどです。その小さくて細い筋肉にコリが出来た場合、その部分を指でピンポイントにほぐすことはほぼ不可能に近いでしょう。“コリや痛みの原因をどのように捉え、どう解消するのか”は治療家それぞれに意見があると思いますが、私はコリとは特定の筋肉(筋線維)の緊張状態が続き、筋膜の内圧が高まっている状態、あるいは筋膜と筋膜、筋膜と骨膜が癒着してしこりになった状態だと考えています。また痛みは血流不全により酸素不足になった筋線維内に発痛物質が増加し感覚神経を刺激した状態です。なので、コリや痛みを解消するには、患部となっている部位を特定し、その部分をピンポイントで刺激し、ゆるめたり発痛物質を消失させなければいけないのです。施術者の指の太さにもよりますが、細い筋肉が何層にも重なった首のコリを、指による面の刺激ですっきりと解消することは難しいのです。

 

理由2.指では疲労がたまる骨ぎわの深いコリに触れられない。

首はとても働き者です。首の役割をざっと上げてみると下記のようになります。

・頭部を固定する

・頭部を動かす

・眼球運動に合わせて頭部の位置を調整する

・咀嚼、嚥下時に下あごを引き下げる

・咀嚼、嚥下時にのどを上下させる

・胸郭を広げるのを助ける

・脳と体をつなぐ血管と神経のパイプ役をする

といったように、私たちが起きて活動している間中フルに働いています。

また首は、肩や背中、腕の筋肉と筋膜でつながっているので、それらの活動の影響も受けています。

ここで話は少し変わりますが、筋肉は浅層筋と深層筋があります(アウターマッスルとインナーマッスル、グローバル筋とローカル筋という呼び名もあります)。両者の違いを簡単に箇条書きにしてみます。

【浅層筋】

・外から見える(ボディビルダーの肉体が解りやすいです)

・触れられる

・投げる、引っ張る、持ち上げる、などの主要動作に使われる。

・瞬発力がある

・疲労しやすい

【深層筋】

・外から見えない(骨に近い部分にある)

・触れられない

・姿勢の保持や微調整などの補助動作に使われる(骨格を保持するので、主要動作の際にも働く)

・持久力がある

・疲労しにくい

首は起きている間中、重い頭を支え、頭の位置を調整し続けています。パソコンやスマホの普及により目を酷使する機会がどんどん増えている現代では、眼球運動に合わせて頭が大きく動かないよう細かな調整をしている首の疲労はかなりなものです。ましてや猫背で首が前に出ていたり、顎が常時上がっているような姿勢はどれほど首に負担がかかっていることか・・・。首のコリや痛みの元は頭を支えている深層筋に出ます。首こり、首の痛みを抱えている方がマッサージに行っても「スッキリしない」「すぐに戻る」と感じられるのは、本当に疲れている深層のコリが取れていないからです。首特有の小さい筋肉の深いコリを取れるのは鍼にしかできません。なぜなら鍼は患部の範囲や深さに合わせて、使用する鍼の太さと長さを自在に変えて治療が出来るからです。また、指では深い部分に触れようとすると、そこに行くまでの浅い部分にある筋肉を押しつぶし損傷させてしまいます。その点髪の毛ほどの鍼なら、患部に届くまでに通過する浅層の筋肉を損傷することなく、深い患部にアプローチしコリや痛みの元を取り除くことができるのです。

 

理由3.指による面の刺激は痛みが生じやすい。

マッサージ店で首をもんでもらったら、よけいに痛くなったという人は少なくありません。

それは首の筋肉が細くて小さいので傷つけやすいということありますが、筋肉にある痛みを感知するセンサーが首にはとても多いというのも理由として挙げられます。

筋には筋紡錐(きんぼうすい)という筋組織の長さや張力を感知したり、筋肉に加わる圧の変化などを感知し中枢神経系にフィードバックする受容器が存在します。これらの働きによって、筋肉は過度に伸張するのを防ぎ、体に危害が加えられそうな刺激に対し、防御反応を取っています。そして、身体にはこれらの受容体が密な部位、粗な部位があります。

平均数として細かい運動を司る手などには密に存在し、大きな運動を司る太ももの筋肉や僧帽筋などは大まかに存在しています。その中でも特に首の筋肉には多くの受容体が存在するため、少しの刺激でもすぐに神経が興奮し体が反応します(筋肉が硬直する。気持ち悪くなる。など)。その為首の治療には注意が必要とされ、多くの治療院が首の治療を積極的にしたがらない理由の一つとなっています。

筋にある受容体は筋肉に張力を加えられた時(負荷がかかった時、引っ張られた時)や圧力を加えられた時に反応するので、マッサージや整体に代表される手技の治療はこのセンサーを発動させます(熟練した手技の治療家なら、センサーが起こす反射反応を回避させて筋肉を刺激することが可能です)。指や手による面の刺激に対し、鍼は髪の毛ほどの直径しかなく、重さもないので、受容器を興奮させることがありません。患部に当たった時に鍼特有の響き(ひびき)という、痛いような重いような感覚がありますが、これは軸索反射という筋肉内の血管を広げる反射で、筋肉を緩める作用があります。

 

 

首の治療には鍼が一番!と言っても、深層に届く鍼でなければ意味がない。

ここまで“首こり・首痛の治療には鍼が一番!の理由”をご紹介してきましたが、鍼治療でも深いコリにも直接触れる治療でなければ意味がありません。皆さんはあまりご存じないでしょうが、日本の鍼の手法は実に多様です。施術家の数だけ治療法があると言っても過言ではないほどです。そしてそのほとんどは皮膚に浅く刺す鍼です。筋肉には浅層筋と深層筋とがあるのを前述しましたが、多くの鍼灸院や整骨院で行われているのは浅層筋かツボをターゲットにした鍼治療です。この治療でも確かに筋肉はゆるむのですが、ゆるんでいるのは浅層筋です。慢性化したコリは踏み固めたように骨際の深い部分にあるので、浅い鍼ではマッサージと同様の効果しか出せません。軽度のコリならマッサージや浅い鍼はとても心地よいので最適だと言えますが、首に代表されるような深いコリは、鍼を直接コリのある深い部分に届け、治療しなければ全く意味がないのです。

 

まとめ

鍼が首こりや痛みの治療に最適なのは、患部の範囲や深さによって鍼の太さや長さを変えられ、少ない刺激で高い効果を出せるから。鍼は指の代わりとして体の内部からコリや痛みのある場所を直接治療できるのです。

「鍼をやったけど効果がなかった」という方も多くいらっしゃるでしょうが、その鍼は深い部分を治療していましたか?もし違ったならもう一度鍼に挑戦して見て下さい。その際はご自身のコリの程度に合わせて、鍼の治療法を選ばれることをおススメします。

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