下車坂治療院の施術例

大手術後の食欲不振と体力低下

2020-08-03

病院での診断

腫瘍術後胃腸障害・食欲不振、下肢関節拘縮

これまでの経過

4月に膵臓腫瘍手術。その後から、胃のむかつき、吐き気、味覚障害があり、食欲不振。
術後2か月で退院したが、食欲不振と筋力低下のせいか、体重が10キロ以上減少した。
退院して3週間たつが、家ではほとんど横になっている。
抗がん剤の治療は、終了している。
降圧剤・胃薬を服用している。
特に痛い部位はないが、体力を取り戻したいと思っている。
今後に他の手術も控えているが、医師より今の体力では手術出来ないと言われているので、なんとかしたい。
鍼治療を希望している。

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鍼灸院としての診断

左右大腿の筋力低下が目立つ。
体重が術前に比べ10キロ以上減少していることから、下肢だけでなく体幹部の筋力低下もあると考えられる。
まずは、食欲と前向きに生きる意欲を取り戻すことを期待した治療を行う。
鍼治療希望だが、免疫力低下を考慮し、医師からの同意を得てから、鍼治療を行うことにして、初回はあん摩マッサージを行った。

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治療方針

特定の部位の治療ではなく、心身の不調を改善することを目的とし、鍼ではなく、あん摩マッサージの施術でも対応できると考えた。
鍼でもあん摩マッサージでも、自律神経のバランスを整え、食欲・体力を回復させることに重点を置く。

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治療内容

第1診:食欲がない。嘔吐することはないが、吐き気がある。胃がむかつく。味覚障害あり。足がだるく、歩く速度が遅い。足が自覚的には熱いが、他覚的には冷えている。
施術は左側臥位→仰臥位→右側臥位で全身をあん摩マッサージ。施術後は食欲がわいてきたとのこと。

第2診:前回施術後、食欲がわいたが、実際に食事をするとあまり食べられなかった。当院まで公共機関を使用して通うことが困難なので、この日から往診した。
施術は第1診同様。左右大腿四頭筋・腸腰筋のトレーニングも行った。

第3診:吐き気が軽くなっている。医師の同意を得られたので、この日は鍼治療とあん摩マッサージを併せて施術。
鍼治療は仰臥位で左右前脛骨筋・後脛骨筋へ低周波鍼通電1ヘルツ15分と左右手三里・合谷へ置鍼15分。あん摩マッサージは左右側臥位で施した。

第4診:吐き気はほとんど解消し、食べられるものが増えた。外出はしていないが、マンション内を歩いている。
施術は第2診同様。

第5診:体重は変わらないが、体調は改善傾向。
施術は第3診同様で鍼とあん摩マッサージの併用。

第6診:食欲が改善し、とんかつを食べることができた。
施術はあん摩マッサージと筋トレのみ。

第7診:体力が戻ってきたため、先延ばしになっていた手術を受けられることになった。
今回で治療を終了する。


食欲が戻り、体力も少し回復してきたため、日程が確定していなかった手術を受けることになった。

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施術回数・頻度・期間

初診から最終の第7診までおよそ3週間。

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施術後のケア

下肢筋力の回復を期待した筋力トレーニングを継続すること。

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