伝統鍼灸 渓風院の施術例

すべり症による両臀部痛、両大腿前面の痺れ

2025-06-08

病院での診断

腰椎すべり症

これまでの経過

2ヶ月前の2月下旬、胃マルトリンパ腫の検査後、便秘のために長時間トイレの便座に座り、数十分間いきんだ結果、大量の排便があった。排便後、残便感はなかったが、便座から立ち上がる際に左腰部から左臀部にかけて疼痛および痺れが出現した。この疼痛は持続し、以降、起床時のベッドから立ち上がりの歩行開始時にNRS8の強い腰臀部痛が毎日出現するようになる。

そして、整形外科にて腰椎すべり症と診断される。



経過

3月頃より疼痛部位に変動が見られ、日によって左側、右側と移行する遊走性の痛みに変化している。疼痛の強度は依然としてNRS8であった。



現在の状況

この2ヶ月間で疼痛は次第に緩和し、現在はNRS5程度の痛みがある。しかし、1週間前から両大腿前面に痺れが出現しており、常に感じる

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鍼灸院としての診断

足太陽膀胱経の冷え

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治療方針

足の膀胱のツボのラインを温めること

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治療内容

◾️初診 4月19日

6月上旬に神奈川県に引っ越す予定のため、1ヶ月半鍼治療を行っていく。

左膀胱兪(臀部のツボ)1本刺鍼20分


◾️2診目・・・7日後に来院

前回治療後、便秘や腰、大腿部の痺れ症状に変化なし。

ツボの広がりが大きいので、少し詰めて来院するよう伝える。

同じツボ(左)に1本 25分刺鍼


◾️3診目・・・4日後に来院

左右の大腿部の痺れがマシで、最初が10としたら現在は3-4。

腰臀部痛は、朝の起床時痛NRS5はまだ変わらない。

便通は1日1行/残便感なし

同じツボ(左)に1本 30分刺鍼


◾️4診目・・・5日後に来院

大腿部の痺れはなくなった。

腰臀部痛は、朝の起床時痛NRS5→2.5に減った。

便通は1日1行/残便感なし

同じツボ(左)に1本 30分刺鍼


◾️5診目・・・9日後に来院

大腿部の痺れなし。

臀部痛はNRS2.5→2.5と横ばい。

便通は1日1行/残便感なし

同じツボ(左)に1本 30分刺鍼


◾️6診目・・・7日後に来院

大腿部の痺れなし。

腰臀部痛はNRS2.5→2

便通は1日1行/残便感なし

同じツボ(右)に1本 35分刺鍼


◾️7診目・・・8日後に来院

大腿部の痺れなし。

腰臀部痛は、臀部痛がなくなり、腰の痛みはNRS2くらいある。

便通は1日1行/残便感なし

同じツボ(左)に1本 35分刺鍼


◾️8診目・・・7日後に来院

大腿部の痺れなし。

左腰の一部分にNRS1〜2の痛みあり

便通は1日1行/残便感なし

神奈川県引っ越しのため、他の鍼灸院を紹介して治療終了となりました。

同じツボ(左)に1本 35分刺鍼


この症例では、ツボの反応を重視し、同じ配穴を継続的に用いたことで、徐々に症状が改善しました。特に、治療の序盤で大腿部の痺れが早期に改善され、終盤にかけて腰痛の範囲が縮小し、痛みの程度も次第に軽減していきました。これらの変化は、回復過程の一環として非常に興味深く、私自身も多くを学ぶ機会となりました。

また、患者様が神奈川県に転居された後も、別の鍼灸院を紹介し、良好な治療経過を維持できたことは、今後の治療においても有意義な連携が取れたと感じています。

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