鍼灸院はりーの施術例

食欲がまったくない

2021-02-18

病院での診断

自律神経失調症

これまでの経過

既往歴:なし

現病歴:3年ほど前から心療内科に通っていて、心療内科では自律神経失調症の診断を受けている。
当院に来院した時の症状は①食欲がまったくない。②睡眠がとれない(中途覚醒)。③背部の熱感(T6-8)などであった。
食欲がないので、仕方なく食事をしているとのことで食事の時間が苦痛である。
睡眠に関しては途中で目が覚める中途覚醒が8入眠障害が2の割合であるとのことだった。
背部の熱感はムカムカに近く、食事の後に多いということが問診でわかった。
昨年の10月以降からこういった症状が出始め、なかなか症状が収まらないので、当院に来院した。

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鍼灸院としての診断

症状が食欲がない、睡眠障害、背部熱感と多彩なことからまずは高次脳機能の低下を疑ったが、検査、問診を進めていくと脳機能の低下などの所見は見られなかった。

緊張しやすい、手足によく汗をかく、にぎやかなところが苦手、冷え性、便秘、外が眩しく感じるなどの自律神経系特に交感神経が過剰に作用している状態であることがわかった。

消化器系の症状と自律神経系の症状が混在していることから当院としての診断は自律神経、特に交感神経の過剰作用による臓器、血管、神経系の働きの低下が症状の要因であると診断した。

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治療方針

施術としては過剰になっている交感神経を鍼灸や運動療法、呼吸指導を使い正常な働きにすることを目標とする。
また交感神経だけを正常にするだけでなく、副交感神経の働きを高め、緊張とリラックスが正常に切り替わるように施術を行う。

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治療内容

初回
脈診にて虚脈がある状態であったため、はり、きゅうの刺激は最小限で行い、虚している臓腑の原穴を補法にて施術した。
標治法では背部の硬結部位に補法にてはり、きゅう施術を行い、体のコリや緊張を和らげた。
さらに副交感神経優位に導く呼吸法を指導し、体の緊張状態をリラックス状態に近づけるようにした。

2回目
前回の施術後若干であるが、食欲がでてきて食事が楽しめたとおっしゃっていた。
評価、診断が正しかったとして施術を継続。
前回同様、本治法、標治法ともに補法にて施術。

3-5回目
食欲が普通に出てきており、食事が楽しくとれるようになってきた。
この頃から食欲よりも睡眠障害が気になり始める。
自律神経の働きのさらに高めるために、本治法、標治法の他に香りによる施術も行った。気持ちを落ち着させるラベンダーの香りを用いて副交感神経を優位に傾けるように施術を行った。

6-8回目
食欲がかなり回復し、ラーメンなどの味が濃いものも食べられるようになった。
睡眠障害も中途覚醒の回数が減ってきて、日常生活も体が楽になってきたとおっしゃっていた。
前回の施術に加えて、ストレッチを行い、さらに自律神経系が正常に働くように施術を行った。

現在も月1回ほどの定期的な施術を行うことで、自律神経失調症による多彩な症状はほぼ治まっている。
今後も症状の再発がないように定期的な経過観察を行い、施術を継続する。

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施術回数・頻度・期間

施術回数→8回(継続中)
施術頻度→1-4回目は1週間に1回、5-8回目は2,3週に1回
期間→3ヶ月(継続中)

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施術後のケア

自律神経系の働きを高める呼吸法と、簡単なストレッチ法を伝え、体が楽に動かせるように指導を行った。

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