鍼灸ひより堂の施術例

肩

仕事にもプライベートにもやる気が起きない

2020.02.15

病院での診断

早発閉経、下垂体性無月経

これまでの経過

初潮時より、自力では定期的な月経が来なかった。
その状態で結婚に至ったため、30代から不妊治療を開始。
排卵誘発剤を使用した人工授精までステップアップをしたが、重症のOHSSになり入院。
その後不妊治療は諦めたが、自力での月経が来ないため、閉経時期までの間、婦人科でホルモン剤による月経周期を作っていた。
ところが今年に入り、急激にやる気や前向き感が持てなくなり、たまたまネットで当院HPを見付けて来院。

<自覚症状>

・何事にもやる気が起きない
・手足の冷え
・肩こり、
・食欲不振、食後不快感
・体力の低下
・痩せ
・顔色が黄色い
・生理が自力で来ない

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鍼灸院としての診断

 過去の血液検査を見たところ、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の兆候が色濃く見られ、更に甲状腺機能低下症も見られました。
チラージンの処方は受けていたものの、今年に入り、チラージンの処方を止めようと提案されたようだが、血液検査上、甲状腺機能の低下傾向が再び現れていました。
甲状腺機能も生殖機能も、その中枢は視床下部であるため、恐らく視床下部に対するストレスが元々の原因であると思われます。

 生殖機能は、その人の体調や体質が大きく関係し、妊活が終わってもその体調や体質自体は変わらないため、健康状態が悪ければ、妊活終了後も何らかの治療が必要であると思われます。
この方の場合も、本質的な体調管理が出来ていない状態で、無理に排卵誘発だけを続けたため、入院する事態になりました。

また不妊治療終了後も、本質的な体調管理が出来ていなかったため、生理周期の乱れや甲状腺機能の低下が、引き続き起こっていると思われます。

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治療方針

視床下部に対して、知覚神経を通して鍼灸刺激を加えて、視床下部の機能回復を目指します。

鍼灸刺激は、感覚中枢である視床を通して、周囲の脳に広がり、視床下部を始めとして、情動に関係する扁桃体や、記憶に関わる海馬、メンタルコントロールに関わる前頭前野にも広がります。

また全身に出ている不快症状には、局所的に施術を加えて、凝りや冷えなどの不快症状を取り除きます。

施術は週1回ペースで、取りあえず3か月は続けて頂くようにお話しました。
その後は症状により、頻度を減らす予定でした。

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治療内容

 頸部や背部などには、直接的な鍼刺激を加えました。
首こりや肩こり、背部の凝りを取り除くためです。

腹部や腰部には、交感神経の働きをブロックして副交感神経を高める施術を加え、消化器や生殖器に血液が循環するようにしました。

知覚が敏感な手足には、優しい刺激を加えることで、脳に対して働き掛けるように施術をしました。

初回の施術後、眠気が強くなり、深い眠りに就けるようになったということでした。

2回目以降は、1回目と同様の施術に加え、日常感じた不調を教えて頂き、その都度対応しました。

すると施術3回目で、既に自覚的にやる気や体力の向上を感じるようになったとのことでした。
まだ段階としては初期ですので、そのまま週1回を続けるようにお話しましたが、ご本人もやる気が出てきたことで、治療意欲も高まったそうです。

現在も週1回の施術を続けています。

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施術回数・頻度・期間

・週1回×3か月
・3か月後に再確認して頻度を減らす予定

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施術後のケア

自宅では、あまり気を付けることはありません。
運動が嫌いということなので、無理強いすることはありません。
ただし、生活のリズムは、フルタイムの仕事をされているため、指導する必要がないからという理由です。
もし、ひたすた寝れる環境の方なら、生活指導もすることになります。

 今回の患者さんは、痩せが強かったため、食事指導や栄養指導は細かくさせて頂きました。
ただ調理の仕事をされている方だったため、理解度が高く非常に楽でした。

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