三瓶鍼療院の施術例

婦人科

難治性不妊(44歳妊娠例)

2021.10.15

病院での診断

原発性不妊症

これまでの経過

結婚後避妊期間はなく、3年間妊娠しないので近くの産婦人科へ受診。一通りの検査の後、夫の無精子症が発覚。大学病院へ転院し、夫は顕微鏡下精巣内精子回収法(MD-TESE)を行い精子を凍結し、体外受精より治療が開始された。

採卵は4回で行い、その都度7~8個採卵出来ていたが、凍結していた精子が融解すると使い物にならないものが多く、射精精子と併用で半分ずつ受精を行っていた。

友人が当院で鍼灸で不妊治療を行っており、紹介で来院された。

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鍼灸院としての診断

1)卵子の質の改善
初診時はギリギリ30代(39歳)で、採卵数は割と多いが胚盤胞まで残る個数が少なかった(3個程度)ため、卵巣血流の増加とストレス状態の緩和などで卵質の改善を狙った。

2)夫側の精子の質の改善
別の報告で書きたいと思う。
無精子症とは言え、ゼロではなく顕微鏡下での全視野で数匹の精子が取れるので、その精子の質の改善を狙う意義もある。

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治療方針

治療頻度は1週に1回以上、できれば2回くらい行う事とした。

卵巣機能が改善し、採卵の成績の改善や受精後の培養成績の改善は治療開始から最短で3ヶ月~5ヶ月くらいかかることが多く、その間は積極的に採卵しない方が良いのではないかと伝えた。

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治療内容

腎陰虚をベースに配穴し、星状神経節へのレーザー照射も併用した

また採卵成績改善にエビデンスのある陰部神経刺鍼点にパルス通電を
行った。

施術開始から4ヶ月、25回以上の治療を行ったあたりで採血し採卵に備えた。
D5でのFSHは8.80mIU/ml は35.8、クロミッド1錠から開始して途中でhMGを注射の排卵誘発で21個採卵となる。
15個受精し、8細胞胚G1が3個のみとなる。

多嚢胞性卵巣の体質であったのか、採卵数に比して最終的に残る胚が少なかった。

以降、3ヶ月~6ヶ月置きに採卵と胚移植を行い、当院治療開始から約5年、治療186回、胚移植16回目(当院来院後9回目)となった2段階移植で妊娠した。

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施術回数・頻度・期間

1週に最低1回で約5年。
186回で妊娠された。

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施術後のケア

妊娠時の年齢も44歳で、新型出生前診断(NIPT)を行い一応現状で分かり得る染色体異常などの問題はない。

とはいえ、出産時の年齢は45歳超となり、胎児を含めての急変が起こりやすいため、何か異常があればかかりつけの総合病院へ連絡するように指示した。

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